2007 Fiscal Year Annual Research Report
ランタノイド錯体複核化による高次ff発光機構の発現
Project/Area Number |
19850021
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大津 英揮 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 助手 (80433697)
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Keywords | 錯体 / ランタニド / 複核 / 構造 / 光物性 |
Research Abstract |
ランタノイド(Ln(III))錯体は原子内に強く局在した開殻4f電子系をもち、典型元素やdブロック遷移元素のみを含む化合物には見られない特徴的な磁気的・分光学的性質を示す。中でも、Ln(III)錯体の発光特性に関して、配位子が光を吸収し、この励起エネルギーがランタノイドイオンに移動してff発光をすることが知られている。このff発光は、ランタノイドイオンの4f電子が外殻電子に遮蔽されているため、発光色純度が高く鮮明であるという特徴がある。しかしながら、配位子およびランタノイドイオンの電子状態を緻密に制御することは困難であり、また、Ln(III)錯体は多種多様な配位数をとるため構造の制御が難しく、錯体のほとんどが単核に留まっていた。そこで、より多元・多様性を有する複核Ln(III)錯体に着目し、複数の同種ランタノイドイオンへの同時エネルギー移動によるさらなる強ff発光性、異なるランタノイドイオンへの同時や逐次または選択的エネルギー移動によるff発光の多様化を掲げ、検討を行った。 平成19年度においては、二核化配位子として、H_3L(Tris[4-(2-hydroxy-3-methoxypheny1)-3-aza-3-butenyl]-amine)を用い、同核二核Eu(III),Tb(III)錯体の合成・単離、また、比較参照のため、対応する単核錯体に関しても合成・単離に成功した。特に、同核二核・単核錯体のすべてにおいてX線結晶構造解析を行うことができ、それらの構造を明らかにした。また、発光特性に関しては、吸収スペクトルや蛍・りん光および励起スペクトルを測定した結果、いずれの錯体もff発光を示し、配位子の最低励起一重項状態からのエネルギー移動によることが判明した。今後、さらなる強ff発光性を有する二核錯体の創成や異種ランタノイドイオンの同時、逐次・選択的エネルギー移動による多重ff発光を志向し、研究を行う。
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[Journal Article]2007
Author(s)
Shoichi Tao, Tatsuzo Miyagoe, Atsushi Maeda, Hiroyuki Matsuzaki, Hideki Ohtsu, Miki Hasegawa, Shinya Takaishi, Masahiro Yamashita, Hiroshi Okamoto
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Journal Title
Adv.Mater. 19
Pages: 2707-2710
Peer Reviewed
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[Journal Article] Molecular Distortion Effect on ff-Emission in a Pr(III) Complex with 4,7-Diphenyl-1,10-Phenanthroline2007
Author(s)
Ayumi Ishii, Shinobu Kishi, Hideki Ohtsu, Toshifumi Iimori, Takakazu Nakabayashi, Nobuhiro Ohta, Naoto Tamai, Milan Melnik, Miki Hasegawa, Yuzo Shigesato
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Journal Title
ChemPhysChem. 8
Pages: 1345-1351
Peer Reviewed
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