2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19850024
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岡野 久仁彦 Tokyo University of Science, 理工学部, 助教 (00453811)
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Keywords | 液晶 / フォトクロミズム / 分子モーター / 光誘起回転 |
Research Abstract |
光と熱の過程で可逆的な回転挙動を示すモーター分子に液晶性を付与することを目的とした。これまでに,分子モーターを液晶にドープした系において巨視的な回転挙動を示すことが報告されているが,本研究で目的とする「分子モーター液晶」では,光応答部位が数wt%程度しか含有されていないドープ系と比較して,応答性の飛躍的な向上が見込まれる。したがって,分子モーター液晶は光で回転する新しい機能性流体としての応用が期待できる。さらにこの分子骨格を発展させれば,巨視的に回転するバルク材料の創成も可能になる。本研究ではまず従来の光応答性分子モーターに液晶形成部位を有する分子をデザインし,合成を試みた。試行錯誤の結果,簡便な方法で目的化合物を得るスキームの確立に成功した。続いて得られた化合物の光応答性を調べるため,光照射にともなう紫外・可視吸収スペクトルの経時変化を測定した。サンプル溶液を調製し,紫外光を照射したところ吸収スペクトルに変化が観測され,その後,室温暗所でサンプルを放置するとスペクトルは初期の形状に戻った。このことは開発した分子が可逆的なフォトクロミズムを示すことを示唆する。次に偏光顕微鏡観察によって,得られた化合物の液晶性を検討したところ,液晶相特有の光学組織を示した。またDSC測定においても,昇温時と降温時において,液晶相転移に起因するピークが観測された。以上の実験結果から,開発した化合物は,目的どおり液晶性を示す分子モーター構造であることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)