2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19850025
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
酒井 健一 Tokyo University of Science, 理工学部, 助教 (20453813)
|
Keywords | 界面活性剤 / スピロピラン / 可視光応答 / 吸着 / シリカ |
Research Abstract |
研究代表者らはこれまでに、スピロピラン環を有する陽イオン性界面活性剤を分子設計し、その希薄水溶液中における光異性化挙動と、表面張力(すなわち、気/液界面に対する吸着現象)の可逆的な可視光応答性を明らかにしてきた。本研究課題では以上の知見を拡張し、外部からの刺激に応答する表面コーティング材料の創製を目指している。平成19年度には、上記界面活性剤のシリカ微粒子に対する吸着特性を定量化し、かつ、形成された分子吸着膜の可視光応答挙動を定性的に解析した。 スピロピラン環を有する陽イオン性界面活性剤(アルキル鎖長12)について、暗所下でシリカ微粒子への吸着特性を検討したところ、添加濃度の増加につれて吸着量も増加していく典型的な吸着等温線が得られた。飽和吸着領域における吸着分子の占有面積を算出したところ、気/液界面における占有面積値よりも有意に大きく、しかもこの濃度領域でシリカ懸濁液の分散性に著しい低下が認められた。以上の結果から、シリカ微粒子表面における上記界面活性剤の吸着密度は低く、結果的にその表面を疎水化していることが示唆された。スピロピラン環は立体的にかさ高く、吸着分子の高密度配向を妨げているものと考えられる。 上記界面活性剤は暗所下で、スピロピラン環が開いたメロシアニン型で存在しており、その溶液(ならびに吸着後のシリカ微粒子)は赤色を呈する。この状態で可視光を照射すると、溶液(ならびにシリカ微粒子)は黄緑色に直ちに変化し、かつ興味深いことに、暗所に静置することで再び赤色に戻る可逆性を確認できた。本結果は上記界面活性剤が固/液界面に吸着された状態でも可視光の照射に応答し得ることを意味しており、本研究課題の最終目標とする「可視光応答型高機能界面の創製」につながる意義深い成果である。
|