2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19850033
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
丹羽 一樹 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, セルエンジニアリング研究部門, 研究員 (30443211)
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Keywords | 生理活性 / 酵素 / 進化 / バイオテクノロジー / 生体機能利用 |
Research Abstract |
ホタルの発光現象は古くから研究されているがルシフェリンの生合成はほとんど明らかにはされていなかった。私はこれまでの研究で、ルシフェリンが自身の光学異性体から生合成されることを明らかにしてきた。本プロジェクトではこの生合成反応に関与する酵素の遺伝子クローニングを目的としている。遺伝子が単離できれば遺伝子工学的な操作が可能となり、ルシフェラーゼを用いた応用技術の改善につながる。例えばルシフェラーゼ遺伝子と共にルシフェリン生合成酵素遺伝子をマウスなどに導本すれば、ルシフェリンを自分で合成して発光することができ、外部からルシフェリンを加える必要がなくなる。このような技術は現状のルシフェラーゼを用いたバイオイメージング技術を大幅に改善でき、薬剤の影響評価やがん細胞転移のメカニズム解析などにおいて、大きな波及効果が期待できる。 遺伝子をクローニングするために二つのアプローチを考えており、一つは発光活性を指標にしてルシフェリン生合成酵素を精製し、アミノ酸配列を明らかにするもの、もう一つは生合成反応経路から酵素を予想し、ヒトなどで既に単離されている酵素から、ホタルでの生合成酵素のクローニングを目指すものである。 19年度は、まず生合成酵素の活性の指標として、精製したルシフェリンを高感度で検出する発光検出システムを整備した。また、ヒトのアシルCoAチオエステラーゼの一種あるACOT8の遺伝子を大腸菌用発現ベクターに組換え、リコンビナントで酵素蛋白質を発現させる系を構築した。20年度は、発現させた酵素によるルシフェリン生合成活性を解析し、ホタルにおける生合成酵素遺伝子のクローニングを目指す。また、ルシフェリルCoAチオエステラーゼの精製を進め、遺伝子クローニングを目指す。
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