2007 Fiscal Year Annual Research Report
鉄イオンと廃棄物中の有機酸を用いた太陽光による有機塩素化合物の光分解
Project/Area Number |
19860004
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
晴山 渉 Iwate University, 工学研究科, 助教 (00451493)
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Keywords | 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 環境技術 / 廃棄物 / 光反応 |
Research Abstract |
近年、地下水汚染は社会問題となっており、その低コストな浄化法の開発が求められている。本研究では、低コストの有機塩素化合物による汚染地下水の浄化システムを構築するために、廃棄物中に多く含まれる有機酸と鉄イオンの光反応を利用した有機塩素化合物分解法の検討を行う。有機酸と鉄イオンの錯体を用いた有機化合物の光分解反応は、シュウ酸については多く研究されているが、他の有機酸についてはあまり検討されていない。そこで19年度の研究では、まず地下水汚染で最も汚染が発見されている有機塩素化合物であるトリクロロエチレンを分解対象物質とし、鉄イオンと数種の有機酸を用いて光分解実験を行った。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸を用いた。その結果、pH4の条件下で、酒石酸、酢酸、クエン酸を用いることで、トリクロロエチレンの分解反応が、他の有機酸よりも素早く進行することが分かった。また、これらの有機酸は、シュウ酸を用いた場合よりトリクロロエチレン分解速度が遅いことが分かった。次に、酒石酸、酢酸、クエン酸を用いた場合のトリクロロエチレンの光分解条件を検討するために、鉄イオンと各有機酸が錯体を形成するpHを平衡計算から求めた。その結果、酒石酸と酢酸は、pH3程度を最大として強酸性から弱酸性の条件下で鉄イオンは有機酸との錯体を形成すること、またクエン酸は、強酸性から中性の条件下で錯体を形成していることが分かった。このことから、これらの有機酸を用いた場合、酸性条件下でトリクロロエチレンの分解は進行することが考えられる。また、これら有機酸鉄錯体が存在する条件下で、吸光度を測定したところ、どの錯体も300〜450nmの波長を吸光することが分かった。よって、太陽光を用いてもトリクロロエチレンの分解反応は進行することが考えられる。
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