2008 Fiscal Year Annual Research Report
新生面生成機構に着目したコールドスプレー成膜メカニズム解明
Project/Area Number |
19860007
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市川 裕士 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (80451540)
|
Keywords | 機械材料・材料力学 / 材料加工・処理 / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
近年コールドスプレー(以下CS)法と呼ばれる新しい成膜方法が脚光を集めている. これは圧縮気体により, 数十μmオーダーの金属微粒子を亜音速から超音速レベルにまで加速し, 固相状態のまま基材に衝突させることにより皮膜を形成させる技術である. しかしながら, 成膜メカニズムは完全には解明されていない. 従来の研究により粒子が変形し付着する際の自然酸化皮膜の破壊, すなわち新生面の生成が重要な現象であることが明らかとなった. また, 付着粒子の形状の分析およびFEA解析結果との比較により, 付着粒子が一定量以上の塑性変形量が生じたときに付着が生じることを見出した, 本研究では新生面の生成に着目しこれらの2つの実験事実を結びつけCS成膜メカニズムの解明することを目的とする. 昨年度までの研究成果により, 基材表面に厚い酸化皮膜が存在すると, 粒子の付着効率が低下することが明らかとなった. 粒子の衝突速度はその衝突位置によって異なることが知られている. そこで本年度は付着粒子数と衝突位置(=衝突速度)の関係を詳しく調査した結果, 酸化皮膜が厚くなると付着臨界速度が高くなることが明らかとなった. また, 付着粒子断面を観察した結果, 同一の衝突速度で衝突した粒子は酸化皮膜の有無によらず, その変形挙動は同じであることが確認されたため, 臨界速度が変わった理由は付着に必要な新生面を生成するのに必要な塑性変形量が変化したためであると考えられる. これらの結果から, 本質的に付着に必要な条件すなわち新生面の生成量は一定でありそれを実現するための条件が基材の状態などに依存することが明らかとなった. 本研究の結果から, 統一的なCS成膜メカニズムの解明につながる有意義な知見が得られた.
|
Research Products
(2 results)