2007 Fiscal Year Annual Research Report
強い光の場による分子結合再配列を用いる新規材料創製法
Project/Area Number |
19860014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 暁彦 Tohoku University, 多元物質科学研究所, 教育研究支援者 (20451635)
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Keywords | レーザー工学 / 超微粒子合成 / 光分子変換 / 液体アブレーション / ダイアモンドライクカーボン / フェムト秒パルスレーザー |
Research Abstract |
パルス幅がフェムト秒のレーザーを光の回折限界まで集光すると、10^<20>W・m^<-2>程度の極めて強いレーザー場が生成する。このような強いレーザー場では、水素原子のクーロン場と同程度の強い電場が生じるため、その中に置かれた原子や分子から電子が剥ぎ取られて容易にプラズマ化することが期待される。このフェムト秒パルスレーザーによって発生する電場は、高電圧を用いた通常の方法では全く実現できない強さであり、物質への作用については未知の分野である。 本研究は、この強い光の場による分子結合再配列プロセスを、材料合成へ応用した独創的な研究である。本年度は、様々なレーザー照射条件で微粒子を合成し、微細構造や結合状態を評価することで、最適な合成条件を調べることを目的とした。具体的には、レーザー源にTi:Sapphireレーザーを用い、まずベンゼン液体に対して照射実験を行った。レーザーの出力および照射パルス数を一定とし、パルス幅および繰り返し数を変化させた。ベンゼン液体へのレーザー照射により、全ての条件において液体中に黒色の生成物が生じた。透過型電子線顕微鏡を用いて微細構造観察を行い、ラマン分光分析により結合状態を評価したところ、いずれの照射条件においても、粒径が数10nm程度のアモルファス構造を有したダイヤモンドライクカーボン(DLC)微粒子が生成していた。以上の結果より、ベンゼン液体へのフェムト秒パルスレーザー照射により、アモルファス構造を有するDLC超微粒子が合成出来ることがわかった。また、本実験条件の範囲では、照射条件に寄らずDLC超微粒子を得ることが出来ることを明らかにした。
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