2008 Fiscal Year Annual Research Report
強い光の場による分子結合再配列を用いる新規材料創製法
Project/Area Number |
19860014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 暁彦 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (20451635)
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Keywords | レーザー工学 / 超微粒子合成 / 光分子変換 / 液体アブレーション / フェムト秒パルスレーザー |
Research Abstract |
パルス幅がフェムト秒のレーザーを光の回折限界まで集光すると、極めて強いレーザー場(10^<20>W・m^<-2>)が生成する。このような強いレーザー場では、水素原子のクーロン場と同程度の強い電場が生じるため、その中に置かれた原子や分子から電子が剥ぎ取られて容易にプラズマ化することが期待される。このフェムト秒パルスレーザーによって発生する電場は、高電圧を用いた通常の方法では全く実現できない強さであり、物質への作用については未知の分野である。本研究は、この強い光の場による分子結合再配列プロセスを、材料合成へ応用した独創的な研究である。 本年度は、様々なレーザー照射条件で微粒子を合成し、微細構造や結合状態を評価することで、最適な合成条件を調べるとともに、種々の金属ナノ粒子を合成した。レーザー源にTi : Sapphireレーザーを用い、Ag,Au,Ptなどの塩化物水溶液ヘレーザー照射した。透過型電子線顕微鏡を用いて微細構造観察を行ったところ、いずれの照射条件においても、粒径が数~数十nm程度のナノ粒子が生成していた。また、レーザー照射後の水溶液は黄色や赤色を呈し、貴金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に起因した可視光域での光吸収が認められた。これらの結果は、強い光の場での光分子変換プロセスにより、金属錯体水溶液中からナノ粒子を合成できること強く示す結果である。
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Research Products
(10 results)