2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19860015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹田 修 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (60447141)
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Keywords | 希土類磁石 / 重希土 / リサイクル / 溶融フッ化物 / 資源の安定供給 / ジスプロシウム |
Research Abstract |
近年、Nd-Fe-B系希土類永久磁石はハイブリッド自動車の動力用高性能モーターにも採用され、市場規模がさらに拡大している。この磁石には主成分のネオジム(Nd)以外にも耐熱性向上のために重希土のジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)が添加されており、その生産量も増大している。しかし、希土類の中でも重希土は地殻中の存在量が極めて少ない上に、その生産の9割以上を中国に依存しており、資源の安定供給に大きな問題を抱えている。つまり、重希土のリサイクルは資源政策上極めて重要であるが、その研究はほとんどなされていない。 以上の背景を踏まえ、報告者は磁石廃棄物中のDyやTbを効率よく再資源化するプロセスの開発を行っている。廃棄物には磁石の製造工程で発生するスラッジ(切削くず)や市中スクラップがあるが、いずれも酸素で汚染されており、含有する希土類酸化物を分離・除去する必要がある。そこで、廃棄物にフッ化物系フラックスを添加して溶融し、スクラップ中の酸化物をフッ化物中に溶解・分離する方法を検討している。 平成20年度は、平成19年度に引き続き当該プロセスを設計するのに必要な基礎データである希土類酸化物(Ln_2O_3)-希土類フッ化物(LnF_3)-フッ化リチウム(LiF)系(Ln=Nd or Dy)の平衡関係を探査した。その結果、いずれの系も希土類酸化物は二種類の酸化フッ化物(LnOF, Ln_4O_3F_6)を経由して溶融フッ化物中へ溶解してゆくことが分かった。さらに、1200℃での溶融フッ化物(LiF-50mol%LnF_3)へのNd_2O_3の溶解度は約7.4mass%、Dy_2O_3の溶解度は7.6mass%であり、ほぼ同水準であることがわかった。ただし、浴中への溶解速度が遅いため、溶解を促進する操作が必要であることがわかった。
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