2007 Fiscal Year Annual Research Report
線形・非線形磁気光学を用いた反強磁性磁化ダイナミクスの観測と超高速制御
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19860020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 琢哉 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 助教 (40451885)
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Keywords | 反強磁性体 / スピンダイナミクス / 超短パルスレーザー / 遷移金属酸化物 / スピントロニクス / 磁気光学効果 |
Research Abstract |
反強磁性体の磁化ダイナミクスは強磁性体よりも桁違いに高速であり、超高速制御が可能であることが理論的に予測されている。我々はその実現を目指して研究を行っている。反強磁性体NiOはNeel温度が523Kと高く,室温で動作する交換バイアス物質として有望視されているため、試料として用いた。平成19年度においてはまず、NiO単結晶をフローティングゾーン法を用いて作製し、x線により111面に方位出しを行った。さらに、厚さ100ミクロンまで研磨し、アニールにより磁気ドメインを大きくする処理を施した。 クロスニコル法を用いたドメイン観察を行ったところ、T1〜T4ドメインが見られ、ドメインサイズはおよそ100ミクロンであった。 一方、パルス幅100fs、繰り返し周波数1kHzの超短パルスレーザーを用いたポンプ&プローブ測定システムを構築した。そしてNiOの超高速磁化ダイナミクスを室温にて測定し、ポンプ光の円偏光ヘリシティーによって誘起される信号の符号が反転することを見出した。 これは光励起が非熱的なプロセスであり、光の角運動量をスピン系に注入できたことを示すものである。さらに応答速度が光パルス幅と同程度の約200fsと超高速であったことから、超高速スピン制御への応用が十分に期待される。 さらに、光励起による応答は、4種類のドメイン毎に異なる振る舞いを示した。ドメインダイナミクスに関する知見が得られるものと期待される。
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