2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19860021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑名 一徳 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (30447429)
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Keywords | 燃焼 / 火炎 / 旋回流 / 安全工学 / CFD / 模型実験 |
Research Abstract |
火災旋風発生時の火炎の性質および被害予測に関する知見を得る目的で、理論解析、小規模実験、数値流体計算、風洞を用いた火災模型実験を行った。 昨年度の理論解析をより一般的な旋回流・浮力流に対応できるように拡張し、火災旋風が発生すると火炎高さが増大する理由を検討した。その結果、旋回流および浮力流の存在により火炎形状が変化し、燃料への熱流入の増加、また、それに伴う燃料供給速度の増大が火炎高さの増大機構であると示された。この理論解析の結果は、小規模火災旋風実験で火炎高さと燃料供給速度を測定することにより、確認された。 さらに、化学的特性および物理的特性の異なる燃料を用いて実験を行い、燃料の特性が火災旋風の性状(特に被害の大小を左右する火炎高さに着目した)に及ぼす影響を評価した。その結果、液体燃料が気化したときの動粘性係数およびすす発生量が、火炎高さに大きな影響を及ぼすことがわかった。これらの結果は、形成される渦構造の違いや、化学量論関係の変化により説明できる。 また、火炎から燃料への熱流入速度を求めるのに必要な、火炎基部での消炎を考慮した理論を構築したが、この理論を数値シミュレーションおよびマイクロ火炎を用いた実験の結果と比較することにより、妥当性を確認した。 風洞を用いて、横風と上昇気流の相互作用により発生する火災旋風の模型実験を行った。この実験結果より、火災旋風を発生させやすい横風速度が存在し、その速度は燃焼域の大きさおよび燃料消費速度に依存することが確認された。また、模型実験理論に基づいた考察により、火炎を用いずプレートヒーターを使用する模型実験を設計し、実験を行った。プレートヒーターを用いた実験によっても、火災旋風と同等な渦を伴った流れが形成されることが確認された。これらの模型実験の結果から、火災旋風が発生しやすい条件について知見を得ることができた。
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