2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19860022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 淳一郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (40451786)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 垂直配向 / 熱伝導 / 界面熱抵抗 / 熱デバイス |
Research Abstract |
前年度に引き続き,単層カーボンナノチューブの熱・電子テバイスヘの応用上重要になる周囲物質との間の伝熱作用に関する解析を行った.前年度に開始した,単層カーボンナノチューブと触媒金属や単層カーボンナノチューブ複合材に関する系に加えて,基板上の単層カーボンナノチューブや,層状や束状の単層カーボンナノチューブにおける界面の伝熱に与える影響に関して大規模分子動力学計算を展開し,実用環境での単層カーボンナノチューブの伝熱問題を多岐に渡って検証した.特に,界面でのエネルギー伝達や周囲材料の単層カーボンナノチューブの内部熱伝導に与える影響のメカニズムを詳細に調べるため,フォノンモードごとの動力学を抽出する方法を実践し,周囲環境がフォノンモードおよびその緩和に与える影響を明らかにした.その結果,周波数や波数領域によって界面の作用が大きく異なることが明らかになり,現象のモデル化に向けた知見を得ることに成功した.また実験においては,前年度に構築した薄膜3ω法とレーザーフラッシュなどの非接触型の熱伝導計測法を併せて,単層カーボンナノチューブの配向膜の基板垂直方向への熱伝導評価を行った.厚さや合成条件の異なる膜に関して測定を行った結果,いずれもグラファイトと同程度の温度拡散率を有することが明らかになった.これは理想的な単層カーボンナノチューブに期待される値と比較すると劣る値であるが,上述の数値計算によって得られた知見を基に単層カーボンナノチューブ膜の合成条件や周囲材料との界面を制御することで,さらなる向上が見込まれる.
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