2007 Fiscal Year Annual Research Report
無線センサを用いた構造振動計測技術と振動解析アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
19860025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長山 智則 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (80451798)
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Keywords | 無線センサ / 構造振動計測 / 構造健全性評価 |
Research Abstract |
本研究では,社会基盤構造物に対する効果的な維持管理を実現するため,無線センサネットワークによる振動計測を利用して高精度に構造物の健全性を評価するシステムの構築に必須となる要素技術の開発を行った.本研究期間においては具体的には,1)センサハードウェアに求められる要求性能を明らかにする,2)無線センサで計測されたデータの解析アルゴリズムを開発し,数値シミュレーションと実験でその妥当性を示すことを目的とした. まず,センサハードウェアに求められる要求性能を,振動計測解像度の観点から明らかにするため,大学構内の建物の振動計測をし,常時微動と地震応答の振動レベルを明らかにした.次いで鉄道高架橋の振動レベルを調べるため,RC高架橋に速度計を設置し,列車運行時の構造振動を計測した.これにより,列車通過時の交通振動および常時微動の振動レベルが明らかになった. 常時微動は非常に小さく無線センサネットワークで計測することが容易でないことが分かったため,地震応答や交通振動を計測し解析する仕組みを考案し,実計測データを用いてその妥当性を検討した.鉄道橋交通振動応答の解析では,構造性能評価の指標となる固有振動数とコヒーレンス関数が推定できることを示した.次いで,本解析手法を無線センサであるIntel Imote2に実装し,固有振動数などの指標を自律的に推定できることを示した. 更に,同定された固有振動数やモード形などの振動特性から,損傷の有無など構造性能を推定するための構造逆解析法を構築した.既往の方法は損傷前後の振動特性を比較して損傷を検出するものであったため,過去に振動計測されていない既存構造物への適用が不可能であったが,本研究では既知付加質量を利用することで損傷前振動計測データを必要としない構造解析法を構築した.数値シミュレーションと構造模型実験により本解析法の有効性を示した.
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Research Products
(2 results)