2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19860028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
文屋 信太郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 講師 (30451793)
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Keywords | 防災 / 自然災害 / 気候変動 / 海岸工学 / 計算物理 / 計算力学 / 高潮 / 洪水 |
Research Abstract |
本研究では地球温暖化が高潮・洪水に及ぼす影響を計算機シミュレーションによって評価することを目指し,それに必要な基礎的技術の研究開発を目的としている.低気圧によって発生する高潮・洪水のリスクは2005年に米国を襲ったハリケーンカトリーナ以降,大きく注目されている.さらに,地球温暖化によって高潮・洪水の被害は拡大すると予想されている.研究代表者らが開発している高潮・洪水のシミュレーションモデルは,ハリケーンカトリーナ被災地の復興計画おいて新堤防システムの設計に用いられるなど高い有用性が確認されている.一方で,再現・予測シミュレーションを現実的な条件下で行っていく中でいくつかの課題も浮き彫りになった.本研究ではこれらの課題を解決するためにDiscontinuous Galerkin法を用いた新しい計算モデルの提案を行っている.平成19年度は新しい計算モデルの構築に必要な基礎的要素技術の中でも,特に,洪水計算を行う際に不可欠な移動境界手法の提案と検証,および計算コスト低減のためのhp-adptivityに関する研究を行った.移動境界手法については,高精度でロバストであり,且つ実用性の高いものを開発するのは大変困難であったが,本研究ではそれらの要求事項を満たす手法を開発し,検証問題によって詳細に検証した.検証の結果は大変良好であり,今後この手法を使った実用的な高潮・洪水モデルの開発を進めることができる.hp-adaptivityについては試験的な実装を済ませ,その精度および実行速度に対する有効性を確認した.今後実用化に向けた検討を進める.日本周辺の海域・陸域で発生する高潮・洪水の予測計算を行うためにはこの地域の地理的・水理的情報を含んだ非構造構造格子を作成する必要があるが,それに必要なデータの取得に関しては現在調査を進めているところである.
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