2008 Fiscal Year Annual Research Report
タングステートを基盤とした新規な液相選択酸化反応系の開発
Project/Area Number |
19860029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 慶吾 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (40451801)
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Keywords | タングステン / 過酸化水素 / 酸化反応 |
Research Abstract |
本申請研究では、分子性酸化物クラスターであるポリオキソメタレートおよびペルオキソメタレートの触媒活性点構造を原子レベルで制御し、触媒活性点上で酸化剤や基質の活性化を行い有害な副産物を生成しない酸化的官能基変換プロセスの開発を目的としている。本年度は、セレンを中心元素に含む新規二核ペルオキソタングステート[(n-C_4H_9)_4N]_2[SeO_4{WO(O_2)_2}_2]による過酸化水素を酸化剤とした高効率的酸素添加反応系の開発と、リンを中心元素に含む二原子欠損型ポリオキソタングステート[(n-C_4H_9)_4N]_3H_4[γ-PW_<10>O<34> (H_2O)_2]の合成・キャラクタリゼーションについて検討した。セレン中心二核ペルオキソタングステートが、過酸化水素を酸化剤とするアリル型アルコール・ホモアリル型アルコールのエポキシ化反応が化学選択的、位置選択的、ジアステレオ選択的に進行することを見出した。速度論や量子化学計算を用いて反応機構を検討した結果、ヘテロ原子にセレン中心を導入することによるタングステン中心のルイス酸性の著しい向上と、触媒と基質であるアルコールとの間の強い水素結合生成による基質の活性化が、従来触媒にはない高い触媒活性の発現に起因することが明らかとなった。また、合成時の出発原料・化学量論・pH・濃度・温度などを厳密にコントロールすることにより、中心元素をリンとする新規な二原子欠損型ポリオキソタングステートの合成を行った。IR、UV-Vis、CSI-MS、P^^<31>及びW ^^<183> NMRなどの種々の分光学的キャラクタリゼーションから、欠損部位を位置選択的にプロトン化した新規なポリオキソタングステート構造を有することが明らかとなった。
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