2008 Fiscal Year Annual Research Report
超合金組織の形態変化を応用したタービン翼稼働力学場の検出と寿命延伸技術への展開
Project/Area Number |
19860036
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
阪口 基己 Nagaoka University of Technology, 工学部, 助教 (60452083)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 自己組織化 / モニタリング / Ni基超合金 / 寿命延伸 / 残留応力 |
Research Abstract |
先進ガスタービンのブレードには,現在,単結晶Ni基超合金(以下,単に超合金と呼ぶ)が用いられている。超合金は優れた高温強度を持つ耐熱材料であると同時に,力学的環境に依存して組織形態がさまざまなかたちに変化し,その形態により材料強度が上昇・低減するという特徴もあわせ持つ.本研究では,この超合金組織の特性と強度に与える影響を積極的に利用した「タービン動翼の稼働力学場検出技術」,ならびに,「動翼の寿命延伸技術」の確立を目指し,その根幹を担う基礎的事象を学術的観点から明らかにすることを目的とした. 今年度の研究では、まず、昨年度に引き続き、塑性予ひずみとその後の熱処理により生じる組織変化現象に注目し、予ひずみを与える際の温度ならびに予ひずみにより生じる残留応力の影響について実験的に検討した。その結果、組織変化はひずみを与える際の温度に強く依存し、温度が高いほど組織変化の程度が顕著になること、予ひずみにより残留応力場が形成された場合は、残留応力の大きさと方向に強く依存し、塑性予ひずみにはほとんど依存しないことが明らかになった。 つぎに、これまでに得られた実験結果について、その現象の駆動力を定量的に評価するとともに、組織形態と力学的負荷条件を関連付ける解析モデルを展開し、「組織形態変化-力学条件」マップを作成した。これを基に実験結果を検討した結果、塑性予ひずみにより生じる超合金組織の形態変化は、γ母相/γ'析出相間の格子ミスフィットや各相の降伏応力の温度依存性、ならびに、それらが引き起こす界面ミスフィット緩和挙動の温度依存性に強く支配されたものであることが明らかになった。 これら一連の検討は,目標としたタービン動翼の「稼働力学場検出技術」,ならびに,「動翼の寿命延伸技術」の確立に不可欠な基礎的事象を明らかにしたものであり、得られた知見により近い将来の目標達成が可能になると考えられる.
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