2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19860043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 暢伴 Osaka University, 基礎工学研究科, 特任助教 (50452404)
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Keywords | 弾性定数 / Fe薄膜 / Pt薄膜 / フェムト秒パルスレーザー / 音響フォノン共鳴 |
Research Abstract |
本年度は、最初に既存の真空チャンバーを改良して2電極同時スパッタリング装置を製作した。続いてFeとPtを単体で成膜し、両者の成膜に適した成膜条件を検討した。成膜時の基板温度を調整することによって膜組織を制御できるどうかを確認するために、異なる温度で保持されたMgO(001)基板上にFeとPtを100nmずつ成膜したところ、室温では多結晶構造を示していた薄膜が、500℃に加熱するとエピタキシャルに成長することをX線回折測定によって確認した。さらに、Si基板上に成膜したFe薄膜の弾性定数を測定したところ、室温ではバルク材に比べて20%も小さい弾性定数を示したが、基板温度を500℃にするとバルク材とほぼ等しい弾性定数になることが分かった。これらの結果は基板温度の制御によって膜組織をコントロールすることが可能であることを示しており、本研究で提案する手法によって弾性定数を介して内部組織の変化を検出できることを改めて確認することができた。 本研究で製作した同時スパッタリング装置によってFe薄膜とPt薄膜を成膜可能であることを確認した後、FePt合金薄膜の試作を行った。基板温度を室温または500℃に保持し、FeとPtのモル比がおよそ3:1となるFePt合金薄膜を成膜した。さきほどの単層膜と同様に、室温で成膜すると多結晶構造を示し、なおかつFePt合金からの明瞭なX線回折ピークは観察されなかった。しかしながら、500℃で成膜すると明瞭なFePt合金のX線回折ピークが観察され、なおかつエピタキシャル成長していた。SQUIDによる磁気計測では両者に明確な違いが見られ、弾性定数も基板温度によって変化した。以上の実験によって本研究を遂行するために必要な測定条件等を見出すことができたので、引き続きFePt合金の成膜、磁気測定、弾性定数計測を行い、弾性と磁性の関係の解明を目指す。
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Research Products
(2 results)