2007 Fiscal Year Annual Research Report
高精細映像による没入型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時への適用性
Project/Area Number |
19860047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安福 健祐 Osaka University, サイバーメディアセンター, 助教 (20452386)
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Keywords | 避難シミュレータ / 没入型ディスプレイ / 高精細 / インタラクティブ / CG / 防災 / 地下空間浸水 / 避難行動 |
Research Abstract |
本研究は,被験者のインタラクティブな操作が可能な高精細映像による没入型避難シミュレータを開発することで,仮想空間上での災害の没入感,臨場感を向上させ,被験者の避難行動の再現性を高めることを目的としている.そのため当該シミュレータの開発には,被験者の視野を大画面の映像で囲むことで,VR環境を実現する没入型ディスプレイ装置を用いる.大阪大学サイバーメディアセンターでは2002年より典型的な没入型ディスプレイであるCAVEを運用してきたが,経年による描画性能の劣化から,2007年2月に同システムの一部を更新し,より高精細な没入型ディスプレイHOPE (High-definition Osaka university Projection Environment)を導入している. HOPEは,グラフィックス処理性能を重視したPCクラスターと,高解像度のディスプレイで構成されており,仮想建築空間に発生する地下空間浸水災害を実時間で可視化した結果,従来のCAVEシステムよりもプログラム実行速度が5倍以上高速化された.これにより,当該シミュレータは被験者のインタラクティブな操作による避難行動実験が可能である.また,避難シミュレータ上で得られる被験者の避難行動特性をモデル化し,各避難者モデルをエージェントとしたマルチエージェント型の避難シミュレーションの開発を行っている.その適用例として,避難経路に障害が発生した場合の避難行動をモデル化し,災害発生時の避難者の誤った避難経路選択がその後の避難時間に大きく影響することを明らかにした.上記システムは,地下空間浸水時に対する防災計画を支援するとともに,被験者への防災教育効果を高めることが期待できるものである.
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