2008 Fiscal Year Annual Research Report
高精細映像による没入型避難シミュレータの開発と地下空間浸水時への適用性
Project/Area Number |
19860047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安福 健祐 Osaka University, サイバーメディアセンター, 助教 (20452386)
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Keywords | 避難シミュレータ / 没入型ディスプレイ / 高精細 / インタラクティブ / CG / 防災 / 地下空間浸水 / 避難行動 |
Research Abstract |
本研究は、災害からの避難を疑似体験可能な避難シミュレータを開発し、その没入感、臨場感を向上させることで、仮想空間上での被験者の避難行動の再現性を高めることを目的としている。本年度は、高精細没入型ディスプレイを用いて、CAD/CGソフトウェア上で設計した3次元建築モデルを可視化し、物理計算に基づく視点移動と衝突検出を行うウォークスルーシミュレーションシステムを開発するとともに、データ再現性、可視化結果、インタラクティブな操作性を評価した。次に地下浸水災害の可視化のために、市販のミドルウェアを導入することで、従来の簡易シミュレーションでは不可能であった流水の激しい動きの表現や水面の物理的な状態を考慮したしぶきの発生、消滅の計算を避難シミュレータ上で実現した。また高精細没入型ディスプレイを用いた没入型避難シミュレータと、PC向けの液晶ディスプレイを用いた避難シミュレータを用いて、被験者の避難行動を比較するとともに、現実の避難行動特性として知られる追従性、向開放性、向光性、帰巣性の再現性について検討を行った。その結果、没入型避難シミュレータでは追従性、向開放性が顕著に現れ、PC型避難シミュレータでは追従性、向光性が顕著に現れる結果が得られた。また、向開放性、向光性については、没入型、PC型ともに既往の実空間上の避難実験結果と比較して大きな差が生じておらず、避難シミュレータにより実空間上での避難行動特性のいくつかが再現されることを示した。また、没入型避難シミュレータでは、広視野かつ原寸大により建築物を可視化できることで、PC型よりも被験者が避難経路の形状を正確に把握できていると推測される結果となり、当該システムを用いることによって仮想空間における避難行動の再現性の向上が期待できる成果が得られた。
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