2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19860052
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
赤尾 聡史 Tottori University, 大学院・工学研究科, 助教 (30448196)
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Keywords | 環境技術 / 廃棄物再資源化 / バイオマス / L-乳酸 / 家畜飼料 / Bacillus coagulans |
Research Abstract |
本研究では,有機性廃棄物の利用という強い社会的要請を背景に,独自性の高いBacillus coagulansを用いた非滅菌・高温L-乳酸発酵による農業廃棄物(稲わら,廃菌床)の資源化技術と発酵残渣(B.coagulans菌体)の生菌剤としての利用技術の確立を目指した.平成20年度は,1.農業廃棄物の糖化とその糖化液を用いた高温L-乳酸発酵,2.同発酵の半連続培養化,3.同発酵で増殖する菌体(乳酸菌)の生菌剤化検討,4.同発酵のサイレージへの適用化検討を実施した. 1.では,稲わらや廃菌床を希硫酸法により糖化し,高温L-乳酸発酵により糖化液からL-乳酸を生成した.糖化液のみのL-乳酸発酵では発酵に必要な窒素分の不足が懸念されたことから,高温L-乳酸発酵に必要な窒素量(炭素/窒素比)を示し,稲わら糖化液に下水汚泥を添加することでL-乳酸収率が向上することも示した.2.では,(1)キシロースのみ,(2)グルコースとキシロース,(3)廃菌床糖化液を基質とする半連続高温L-乳酸発酵を実施した.(1)ではD-乳酸のわずかな生成(光学純度90%前後)が見られたが,(2)と(3)を実施することで,グルコースが存在し速やかにL-乳酸が生成できる環境であれば高温L-乳酸発酵が実施可能であることを示した(キシロースからのL-乳酸生成を含む,光学純度;98%以上).3.では,増殖した菌体(発酵残渣)を乾燥し錠剤化することを念頭に置き,発酵残渣の乾燥工程におけるB.coagulans生存条件の探索を行った.その結果,例えば80℃で2時問の熱処理で生存率10^-2を得た.4.では,イタリアングラスを材料に高温L-乳酸発酵によるサイレージ発酵を進めた.B.coagulansを植種することで速やかなpH低下が得られること,B.coagulansが発酵期間中サイレージに留まること,意図しないpH上昇を招く菌種の出現を防ぐ可能性があることの結果を得た.
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