2008 Fiscal Year Annual Research Report
空調システムにおける省エネ運転・診断ツールの実装に関する研究
Project/Area Number |
19860058
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
住吉 大輔 Building Research Institute, 環境研究グループ, 非常勤研究支援職員 (60432829)
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Keywords | 省エネルギー / 建築環境・設備 / 最適化 / 不具合検知 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では、建物の空調システムの運用において、様々な不具合を迅速に検知し、診断する「フォルト検知診断」と空調システムの制御上の各種設定値を状況に応じて適切なものにする「空調システム運用の最適化」を軸とする省エネ診断ツールを空調システムに実装するため、ツールの開発・改良を進めた。 フォルト検知診断ツールについては、昨年度までに開発した空調システムシミュレーションを用いたモデルベースの手法についての実験結果を踏まえ、正常状態を模擬するシミュレーション値と実測値との比較方法に、距離と検知レベルの概念での整理を行った。さらに、シミュレーションを用いて中規模建物に本ツールを導入した際の検知効果を試算した。シミュレーションでは、性能低下のような摩耗故障型の不具合は検知されるまでの所要時間が長いことや負荷が大きい夏季・冬期に検知される可能性が高いなどの傾向を把握することができた。 一方、最適化ツールについては、実際に使用されている大学施設に実験フィールドを移し、導入効果の計測を行った。昨年度までに開発したツールをより汎用的に利用できるよう改良を加え、BEMSと連動し自動的に設定値最適化を行うツールとした。実測結果では、通常運転を行った日より最適化運転を行った日で、システムの1次エネルギー消費量が5〜10%程度削減された。また、導入した施設の熱源機性能にやや偏りがあったため、稼働する機器によりその効果が異なり、熱源COPは12.3%〜32.8%,システムCOPは22.4%〜46%向上する結果を得た。特に、建物側熱負荷が小さいほど最適化効果が高い結果であった。 当初目標とする2ツールの完全統合には至らなかったが、一般ビルへの適用効果のシミュレーションによる試算および、ツールの実証実験について実施することができ、実システムへの導入により十分に効果が期待できることを示した。
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