2008 Fiscal Year Annual Research Report
多結晶金属材料の脆性-延性遷移への破壊物理的アプローチ
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19860059
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 將己 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (40452809)
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Keywords | クラック / 転位 / 延性-脆性遷移 / 破壊靭性 / 遮蔽 |
Research Abstract |
本研究の目標は,Si結晶によって得られている知見と,単結晶純鉄によって得られている成果を基に,より実用材に近い多結晶フェライト鋼におけるBDT支配機構を明らかにすることである.具体的には,多結晶低炭素鋼での破壊靱性値を種々の温度・歪速度で測定し,BDTの活性化エネルギーの値を求める.ここで求めた値を,単結晶での値と比較することで,多結晶低炭素鋼のBDT支配機構を明確化することである. 本年度は,脆性-延性挙動と転位の運動・増殖課程の関係を明らかにするため,本研究で得られた転位移動の活性化エネルギーの値を用いて,亀裂先端からの転位の生成,増殖シミュレーションをおこなった.このシミュレーションにおける転位の生成条件は,クラックコアの半径以上に置いた転位に作用する力f_d(外部からの力f_<Kd>と亀裂鏡像力f_<dd>の和)が転位運動に対する摩擦力より大きくなる時であるとした.転位運動速度は,転位にかかる剪断応力のm乗に比例することとする.二番目以降に生成された転位は以上の事に加え,先行する転位からの相互作用も受ける事を考慮した.既に生成された転位の運動についても,他の転位との相互作用を考慮して,その運動を記述した.亀裂先端の転位に関する応力関数はThomsonの提案した応力関数を用いる.結晶粒径による転位増殖のし易さをコードに反映させるため,Robertsらが提唱した擬三次元モデルを用いて,結晶粒径の減少を転位源間隔の低下と見なし,破壊靭性値の温度院損性を計算した.その結果,転位源間隔が低下すると,遷移温度が低下する傾向が見られ,結晶粒微細化による遷移温度の低下は,結晶粒界での転位の発生がその支配機構であることが明らかとなった.
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Research Products
(6 results)