2008 Fiscal Year Annual Research Report
オキシナイトライド系の高温融体物性を利用した窒化ケイ素低温焼結プロセスの開発研究
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19860060
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齊藤 敬高 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 講師 (80432855)
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Keywords | 窒化ケイ素 / オキシナイトライドガラス / 溶解再析出反応 |
Research Abstract |
当該年度は前年度に作製した窒化ケイ素過飽和オキシナイトライド焼結助剤を用いた,窒化ケイ素セラミックスの低温液相焼結プロセスの開発を中心に研究を推進した.前年度において得られた窒化ケイ素過飽和焼結助剤を原料であるα-Si3N4粉末に対して10mol%程度添加し,パウダープロセッシングを行った.各特級試薬粉末を秤量し,遊星ボールミルを用いて2h粉砕混合した.なお,ポットおよびボールは窒化ケイ素製のものを,また分散媒にはメタノールを用いた.得られた試料スラリーをロータリーエバボレータによって乾燥させ,さらに40℃の恒温乾燥器で乾燥した.その後,250meshのポリエチレンふるいによって粒度調整を行い,焼結に供した.得られた試料粉末をグラファイトモールドのホットプレス(15MPa)中において,1600℃で種々の時間保持することによって焼結体を作製した.なお,焼結雰囲気は0.1MPaN2であった.焼結体中の相同定はXRDを用いて行い,全窒化ケイ素量(α-Si3N4+β-Si3N4)に対するβ-si3N4の割合(vo1%)は金属Si粉末を標準物質とする内部標準法によって求めた3).また,試料断面のSEM観察を行った.ここで,観察を易化するために,試料の鏡面研磨面を300℃で溶融したアルカリ(KOH:NaOH=1:1)に30sec浸漬し,粒界ガラス(焼結助剤)相を選択的に除去した.また,JIS R1601に基づく三点曲げ試験により焼結体の曲げ強度を求めた.オキシナイトライド焼結助剤を用いた試料では保持時間の経過にともいα-Si3N4が焼結助剤融体を介した溶解再析出反応を経て,β-Si3N4へと転移するα-β相転移が生じているのがわかった.内部標準法により定量した各試料中におけるβ-Si3N4体積分率の経時変化は,オキシナイトライド焼結助剤を用いた試料においてα-β相転移が劇的に促進されていることがよくわかった.得られた窒化ケイ素セラミックス断面のSEM写真から,保持時間の経過にともないオキシナイトライド助剤を用いた試料は針状のβ-Si3N4が絡み合う複雑な微構造を示すことがわかった,オキシナイトライド焼結助剤を用いた試料は保持時間にともない曲げ強度が上昇することがわかった.
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