2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ配線へ向けたイオン注入による金属電極上への触媒微粒子形成
Project/Area Number |
19860068
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩崎 孝之 Waseda University, 理工学術院, 助手
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Keywords | カーボンナノチューブ / LSI配線 / イオン注入 / 触媒微粒子 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)のLSI配線応用実現において、触媒形成方法の開発は非常に重要なテーマである。本研究では、指向性の高いイオン注入により金属電極上に触媒を堆積させ、CNTを合成させる研究を行った。集束イオンビーム装置により打ち込まれる金属(Ni)イオンは高いエネルギーを有しているために、金属電極(Al)に直接衝突すると合金化して触媒機能を失ってしまう。そこで、金属電極上に絶縁膜(SiO_2)を堆積させた。打ち込まれる触媒濃度はガウシアン分布になるため、この絶縁膜の厚さを最適化することによって、金属上に触媒濃度分布の頂点を配置することもできる。まず、厚い絶縁膜に注入した時の触媒濃度分布から、頂点は表面から約45nmに位置することが分かった。さらに、原子間力顕微鏡観察から、イオン注入後の絶縁膜は10nmスパッタリングされていることも分かった。従って、金属電極上に厚さ55nmの絶縁膜を堆積することによって電極表面に高濃度の触媒を用意できる。CNT合成はイオン注入後に絶縁膜を取り除いて行った。比較として絶縁膜がより薄いものと厚いものを作製したが、55nm堆積したサンプルにおいて一番高いCNTの収率が得られた。 CNTの低欠陥化も配線応用には重要な課題である。一般に、CNT成長の炭素源として使用されているのはメタンやアセチレンなどの水素を含有するガスである。しかし、その水素がCNTのsp^2構造を不安定化し、欠陥を導入してしまう可能性がある。そこで本研究において、無水素雰囲気下でのCNT成長も行った。炭素前駆体は高純度カーボンアンテナを希ガスのマイクロ波プラズマで分解することにより生成させた。透過型電子顕微鏡観察より、メタンで合成させたCNTよりも明確な中空構造およびグラファイト層が確認されたので、無水素環境下での合成により欠陥を減少させられたと考えられる。
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Research Products
(2 results)