Research Abstract |
この研究の究極的な目標は,環境と人間との関わりに着目して,高齢者のためのよりよい生活環境を考究することにある. このうち,本研究課題では,認知症高齢者グループホーム(以下:GH)と小規模生活単位型特別養護老人ホーム(以下;ユニット型特養),小規模多機能型居宅介護事業所をフィールドとして,これらの施設での空間構成,入居者の生活様態,入居者の属性との対応関係を明らかにし,こうした生活施設の空間構成について具体的な指針を示すことを目的とする. この種の施設は近年急激に増加しており,その空間構成も非常に多様である.しかし,空間構成と入居者の生活様態との関係は,未だ明らかにされていない.多様な空間構成と入居者の生活の対応関係の解明は,この種の施設の計画に一定の指針を与えよう.またこの研究課題は,これまで非体系的に増加してきたこれら施設のあり方を検証する研究としての位置づけも持つ.また,こうした施設は何らかの支援を必要とする高齢者にとっての「住まい」であり,本研究の成果は,広く高齢者の居住空間の質の向上に寄与するものである. 本研究期間において,ユニット型特養における入居者の生活様態(滞在場所,交流の相手,滞在場所の移動)と施設の空間構成の関係,宅老所・小規模多機能居宅介護事業所における利用者の滞在場所,ADL・認知症の程度,事業所の空間構成の関係について分析し,査読論文としてとりまとめ,発表した.また,グループホームの空間構成と入居者の滞在様態,その反復性に着目した調査・分析を継続して行っており,査読論文集への投稿を予定している.
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