2007 Fiscal Year Annual Research Report
先進炭化珪素基複合材料の破壊抵抗評価試験法の高度化
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19860089
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
野澤 貴史 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 任期付研究員 (70455278)
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Keywords | セラミックス基複合材料 / Sic / Sic複合材料 / 破壊抵抗 / ノッチ感受性 / 亀裂進展過程 / 損傷評価 / 非線形破壊力学 / サイズ効果 |
Research Abstract |
セラミックス基複合材料の性能は繊維マトリックス界面の特性に強く依存する。しかしその重要性に反し、従来の破壊抵抗評価においては複合材料をあたかも均質体のように取り扱い、必ずしも界面特性の寄与を考慮した評価法が確立されているわけではない。本研究は複合材料の亀裂進展のに係る閾エネルギーとしての破壊抵抗を定義し、その定量化への道筋を確立することを主目的とする。具体的には、原子力用構造材料として開発が進む先進SiC/SiC複合材料を対象に、各々の破損過程において破損エネルギーに占める非可逆エネルギーの寄与を分離・定量化する方法を検討した。特に今年度は、初期検討として機械加工により導入した片側または両端ノッチ試験片を使用し、破壊抵抗のノッチ感受性の評価を実施した。複合材料の破損過程はレプリカ法を用いた組織観察によって特定し、1)初期の微細亀裂の発生、2)巨視亀裂の進展、3)界面摩擦と繊維の累積破断による擬延性過程の大きく三段階に分類することができた。除負荷ヒステリシス解析を適用することで、微視亀裂の発生に伴う非可逆エネルギーと正味の亀裂進展エネルギーを分離・評価することに成功し、SiC/SiC複合材料の亀裂進展に係る正味の破壊抵抗を導出した。一方で、試験片サイズによらないノッチ鈍感性を確認した。つまり、複合材料の破壊抵抗はノッチの有無、深さに関わらず一意的に定まることが明示した結果であり、複合材料の破損を考える上で応力基準のみ評価することで十分であることを意味する。本結果は、亀裂進展制御に優れるノッチ試験片を用いた微小試験片法の開発に向けて極めて重要な成果である。次年度において、ノッチ形状の効果、織物構造の影響を明らかにし、非線形破壊力学を基盤とする複合材料の破壊抵抗評価手法を確立する。
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