2007 Fiscal Year Annual Research Report
全角回転電子線トモグラフィーを用いた銀担持チタニアナノチューブの3次元構造解析
Project/Area Number |
19860095
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
苗 蕾 Japan Fine Ceramics Center, 材料技術研究所・エンバイロンメンタルマテリアル部, 副主任研究員 (60455540)
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Keywords | チタネートナノチューブ / 銀担持 / 水熱合成法 / 多色フォトクロミズム |
Research Abstract |
本研究の目的:電子線トモグラフィーの実用材料への応用を検証すると伴に、研究対象とするチタネートナノチューブにAgを坦持してフォトクロミック機能を発現させた材料について、担持金属の3次元分散をナノレベルで測定することを狙う。 研究実施計画:19度はまず、「360°傾斜像試料支持台」を作製する。次に、申請者が確立している合成法(チタニア粉末を強アルカリ性の下で水熟飢合成法を行う)を用いて、アスペクト比が高く、分散比が良く、比表面積の大きく、かつサイズの均一な多層チタニネートナノチューブ(TN-MNT)を作製するとともに、中和反応時に硝酸銀溶液を用いることによって、TN-MNT表面、あるいはチュープ内に銀担持した試料(Ag@TN-MNT)を合成し、そのナノ構造形態と作製プロセスの関係やフォトクロミック特性との関係を調べる。 成果: (1)ナノ構造形態には、出発チタニア物質、中和時のPH値、等が大きく影響した。最良の出発物質と中和反応PH値はそれぞれ、超臨界乾燥法を用いて合成したチタニアアエロゲルを粉砕したもの、及び8であった。分散比を高めるために、TN-MNTを遠心分離器で分離後、凍結乾燥が有効であった。 (2)その時、得られたナノ構造形態は内径5.7nm、外径10nmのチューブ状であった。層間間隔は0.68nm、それに垂直な方向での格子間隔は0.34nmであった,長さは百nmからμmであった。層数は先端の少ない層では2-3層、根元部の厚い層では5-6層であった。 (3)Ag微粒子は粒径1.7-2.6nmに全体の70%が分有し、最大粒径は87nmであった。 (4)得られた粉末のAg@TN-MNT試料を石英slideガラスでペレット状にサンドイッチにして固めた試料にUV光を照射すると、灰白色から薄い茶褐色試料に変化する。この試料に640(赤)、580(黄)、520 (録)、及び450(青)nmの単色光を照射する時、試料の照射部分はそれぞれ照射した光の色に変化し、多色記録される。蛍光灯照射しても数日間は多色が記録されたままであるが、UV光を照射すると、記録された多色は消色する。このように、多色のフォトクロミック現象が確認できた。この現象のメカニズムに関しても、Ag粒子のプラズモン援用として考察を進めた。 (5)「360°傾斜像試料支持台」の設計を行い、作製に着手した。
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