2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19870002
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
廣田 忠雄 Yamagata University, 理学部, 准教授 (00431635)
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Keywords | 行動学 / 昆虫 / 生態学 / 進化 / 甲虫 / 配偶戦略 |
Research Abstract |
繁殖における雌雄の対立は、近年大きな注目を浴びている。オスは自らの子孫を増やすために、配偶時にメスを様々な形で操作するが、余命の短縮などメスにとっては大きな負担になることが、様々な種で明らかにされ始めている。本研究では、オスが交尾時にメスの触角を強く引っ張るオオヒラタシデムシを対象に、雌雄の対立を調査した。本種の『ヒゲ噛み行動』については、愛好家による記載は散見されるが、定量的な調査解析が皆無だったので、捕獲個体と飼育個体を一定の条件下で観察した。結果、ほぼ全てのオスが交尾開始から触角を引っ張る行動が確認された。ただし交尾相手に比べ体格が劣るオスは、交尾開始時には触角に手が届かず、性器の挿入後にヒゲ噛みを始める個体もいた。そのため、ヒゲ噛みは交尾の開始には必須でない可能性が示唆された。また、多くの愛好家から報告されていた触角を食いちぎるは、室内での観察では確認されなかった。野外では、触角を失ったメスも確認されるが、交尾以外でも触角を失う可能性は高く、オスから著しく負担の大きい損傷を受けることは希なようである。ただし半数以上のオスが、挿入後も触角を引っ張り続け、約半数のオスが2時間以上に亘ってメスを拘束する行動が観察された。そのため、本種の『ヒゲ噛み行動』は交尾後に、他のオスとの接触を防ぐために、メスをガードするという意味合いが強いことが示唆された。一方で、メスはマウントされた後に、交尾器を遠ざけ交尾を拒否しようとする行動も観察されたが、ヒゲ噛みで拘束されている間に受け入れる場合もあり、配偶者選択に影響する可能性も示唆された。また、野外調査では、分散行動に雌雄に大差はないが、初春と晩秋に捕獲性比が異なり、越冬の前後で活動性が異なる可能性が示唆された。室内でも、7℃でメスは地中に潜るが、オスは地表で活動するという行動の性差が観察された。
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Research Products
(3 results)