2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19870008
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
成田 啓之 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (50452131)
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Keywords | 一次線毛 / 脈絡叢 / 上皮細胞 / 脳脊髄液 / cAMP / 水頭症 |
Research Abstract |
担当者は脳脊髄液の産生を担っている脈絡叢上皮細胞(CPE)が一次線毛を介したシグナル伝達経路によって脳脊髄液産生調節を行っているという仮説を検証するために以下の実験を行った。1、CPEの初代培養系の確立と一次線毛の超微細構造観察および動態観察:CPEの初代培養をマウス、ラットおよびブタで試み、電子顕微鏡観察で一次線毛の同定を行った。さらに細胞が生きた状態で線毛を連続撮影し、動態を観察した。2、脱線毛処理に伴う細胞内cAMPおよび脳脊髄液産生量の変化:抱水クロラールで培養細胞の線毛形成を阻害した後、細胞内cAMPの濃度変化をキットを用いて定量し、脳脊髄液産生量をトランスウェルを用いたアッセイで決定した。3、脈絡叢上皮細胞の一次線毛へ局在する生理活性物質受容体の検索:文献検索によりCPEの細胞内cAMPシグナル伝達に関わると予想された受容体が一次線毛に局在するかどうかを免疫染色で確認した。またゲノムアレイ解析を行い、脱線毛処理に伴って発現が変動する遺伝子群を同定した。成果は以下の通りである。1、ブタCPEの初代培養系を立ち上げ、培養細胞の均質性をCPEのマーカータンパクに対する免疫染色で確認した。電子顕微鏡による超微細構造観察の結果、この細胞が多数の一次線毛を持っていることを確認した。この一次線毛は通常の培養条件では不動であった。2、培養CPEの培地に抱水クロラールを添加して一次線毛形成を阻害すると、細胞内シグナル伝達物質であるcAMP濃度が上昇し、脳脊髄液産生量が増加することを確認した。3、文献検索によって候補として挙げられたNPFFR2がCPEの一次線毛へ局在することを免疫染色で確認した。この受容体をリガンドであるNPFFを投与して刺激すると細胞内cAMPが低下した。またゲノムアレイ解析により、脱線毛処理によって発現が大きく変動する遺伝子群約200種を同定した。
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Research Products
(1 results)