2007 Fiscal Year Annual Research Report
ガイダンス分子の情報伝達におけるRasファミリーの機能解析
Project/Area Number |
19870012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生沼 泉 Kyoto University, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
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Keywords | Plexin / semaphorin / ガイダンス因子 / R-Ras / integrin |
Research Abstract |
反発性ガイダンス因子semaphorin受容体、Plexinはその細胞内領域が低分子量G蛋白質、R-Rasに対する直接のGAPとして働くことで、integrinを活性化し細胞接着を促進する役割をするR-Rasを不活性化することで、細胞接着を弱め、反発作用を発揮する。R-Rasは神経系に限らず、全身の幅広い組織で、広範な時期において発現しており、細胞運動や増殖を制御している。また、反発性ガイダンス因子Semaは元来、発達期の神経系においての反発因子として働く因子として単離されたが、近年の報告で、Semaが神経系以外を含めた幅広い細胞種で細胞接着や細胞運動を制御していることがわかってきた。さらに、Semaおよびその受容体Plexinは癌化した細胞にも発現しており、悪性度の高い癌細胞ではPlexinの細胞内領域に点変異が生じていることが知られている。私は、この点変異がPlexinの細胞内領域のGAP構造の内部であるという知見を得て、がん細胞での変異体PlexinにR-Ras GAP活性があるのかどうかを生化学的に検証したところ、変異したPlexinがR-Rasに対するGAPとして機能することができないことがわかった。また、この変異体Plexinはがん細胞の過剰な運動をひきおこすことを、海外のグループとの共同研究で明らかにした。これらの知見から、がん細胞で高頻度に見られる変異体PlexinがR-Rasを不活性化できないことががん細胞の転移の原因となっている可能性が示唆され、今後のがん転移・浸潤に対する治療薬の重要なターゲットである。
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Research Products
(5 results)