2007 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカツメガエルHP1の姉妹染色体接着における機能
Project/Area Number |
19870013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 達郎 Osaka University, 理学研究科, 助教 (50452420)
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Keywords | 染色体分配 / 姉妹染色体接着 / ヘテロクロマチン / コヒーシン / 細胞周期 / ツメガエル卵抽出液 / HP1 / DNA複製 |
Research Abstract |
姉妹染色体の接着は、複製された姉妹染色体のペアを同定し、正確な染色体分配を行うために必須である。姉妹染色体はコヒーシン複合体によりDNA複製と共役して接着される。染色体の正確な分配には、動原体の形成されるセントロメア領域の接着が特に重要であると考えられ、セントロメアでの接着を保証するメカニズムが複数報告されている。コヒーシンの染色体結合にはScc2-Scc4複合体が必須であるため、コヒーシンはScc2-Scc4の染色体結合部位から染色体に呼び込まれると考えられる。しかしながら、特に高等動物においてはScc2-Scc4の染色体上での局在や染色体結合メカニズムはほとんど分かっておらず、セントロメア領域へのコヒーシンの結合がどのように保証されているかも不明である。 HP1はヘテロクロマチンの構造維持に必須の蛋白質であり、セントロメア領域などのヘテロクロマチン領域に局在する。高等動物HP1には三つのアイソフォーム、α、β、γが存在し、それぞれ異なる染色体局在パターンを示すが、それらの機能分担についてはよく分かっていない。脊椎動物Scc2にはHP1との相互作用モチーフが存在し、Scc2-Scc4の染色体結合にHP1が関与する可能性が予想される。本研究ではこの仮説を検証するため、染色体複製と接着を試験管内で再現できるツメガエル卵抽出液をモデル系に用いてHP1の機能解析を行っている。本研究者はこれまでにツメガエルHP1α、β、γに対する抗体を作成し、卵抽出液中でScc2とHP1の全てのアイソフォームが物理的に相互作用することを見いだした。間接蛍光抗体標識を用いた顕微鏡観察では、ツメガエルHP1は染色体上でスポット上に局在し、セントロメアなどの特定領域への結合が示唆された。卵抽出液からHP1を免疫除去することにより、HP1のScc2-Scc4染色体結合に果たす役割が明らかになると期待される。
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