2008 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカツメガエルHP1の姉妹染色体接着における機能
Project/Area Number |
19870013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 達郎 Osaka University, 理学研究科, 助教 (50452420)
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Keywords | 染色体分配 / 姉妹染色体接着 / ヘテロクロマチン / コヒーシン / 細胞周期 / ツメガエル卵抽出液 / HP1 / DNA複製 |
Research Abstract |
姉妹染色体の接着は、姉妹染色体のペアを同定し正確な染色体分配を行うために必須である。姉妹染色体はコヒーシン複合体により接着され、接着はDNA複製と共役して成立すると考えられている。染色体の正確な分配には、動原体の形成されるセントロメア領域の接着が特に重要であると考えられ、セントロメアでの接着を保証するメカニズムが複数報告されている。コヒーシンの染色体結合にはScc2-Scc4複合体が必須である。我々はこれまでツメガエル卵抽出液をモデル系に用いて、Scc2-Scc4の染色体結合がDNA複製開始と共役していることを示してきた。一方、ツメガエル以外の生物種ではScc2-Scc4の染色体結合機構は明らかにされていない。また分裂酵母ではセントロメア領域にコヒーシンが優先的に局在するが、ツメガエルを含む脊椎動物で同様の機構が存在するかどうかはわかっていない。 HP1はヘテロクロマチンの構造維持に必須の蛋白質であり、セントロメア領域などのヘテロクロマチン領域に局在する。脊椎動物HP1には三つのアイソフォーム、α、β、γが存在し、それぞれ異なる染色体局在パターンを示す。脊椎動物Scc2にはHP1との相互作用モチーフが存在し、Scc2とHP1の間に機能的なつながりが予想される。我々はツメガエルHP1α、β、γに対する抗体を作成し、Scc2とHP1の相互作用を解析した。ツメガエル卵抽出液中では、HP1の全てのアイソフォームがScc2と相互作用していた。一方、染色体上ではHP1αが優先的にScc2と相互作用していた。間接蛍光抗体標識を用いた顕微鏡観察では、ツメガエルHP1αは染色体上で特定の領域にドット状に結合していた。これらの結果は、Scc2とHP1αは染色体上の特定領域で相互作用していることを示唆する。HP1αはセントロメア領域のヘテロクロマチンに局在することが予想されるため、HP1αはScc2との相互作用を介してセントロメア領域の接着に機能する可能性が考えられる。
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