2008 Fiscal Year Annual Research Report
組換え酵素を用いた人工コンドロイチン硫酸の合成と生理機能の解明
Project/Area Number |
19870025
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
杉浦 信夫 Aichi Medical University, 分子医科学研究所, 准教授 (90454420)
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Keywords | 遺伝子組換え酵素 / コンドロイチン硫酸 / グリコサミノグリカン / 硫酸基転移酵素 / コンドロイチンポリメラーゼ / 表面プラズモン測定 / 蛍光高速液体クロマト / 親和性解析 |
Research Abstract |
蛍光標識コンドロイチンオリゴ8糖(PA-CH8)および蛍光標識コンドロイチン多糖体(PA-CH12k,40k)を化学的修飾法と酵素法を組み合わせてmgスケールで合成した。また、遺伝子組換えコンドロイチン硫酸基転移酵素(C4ST1,C6ST1,C4S6ST,CS2ST)を大量調製し、アフィニティークロマトグラフィーにより精製した。これら合成コンドロイチン糖鎖と組換え硫酸基転移酵素を使用して、さまざまな硫酸基修飾オリゴ糖および多糖体を調製した。例えば多糖体にC4ST1を作用させて100%硫酸化したPA-C4Sや、C6ST1を作用させて100%硫酸化したPA-C6S、C4ST1とC6ST1を同時作用させて4S約40%,6S約60%のPA-C4S6S、さらにCS2STを作用させて二糖2硫酸化(diSD)構造を持つPA-CSD、C4S6STを作用させて二糖2硫酸化(diSE)構造を持つPA-CSEなどを合成した。合成硫酸化修飾オリゴ8糖は、分解酵素処理、酢酸水銀処理および2種類の蛍光HPLCシステムにより、8糖の糖鎖配列を決定出来る方法を開発した。さらに、表面プラズモン測定装置を用いて、固定化したミッドカインやプレイオトロピンに対する合成コンドロイチン硫酸誘導体の熱力学的親和性の解析を行った。硫酸基修飾の位置と量に関して結合性が大きく異なる解析結果が得られた。これらの結果を踏まえ、コンドロチン硫酸構造と生理活性の相関および生理機能探求の研究を進める。 本研究により、天然では得られない一定の糖鎖長で均一な硫酸基構造を持つコンドロイチン硫酸が得られ、今後の構造活性相関研究が飛躍的に進捗する。また、今回始めて体系的な糖鎖配列決定法を開発できた。これは今後のコンドロイチン硫酸誘導体の構造解析及び生理機能探索にきわめて有効である。
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