2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19870030
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
北舘 祐 National Institute for Basic Biology, 発生遺伝学研究部門, 特別協力研究員 (10455214)
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝学 |
Research Abstract |
ショウジョウバエの生殖幹細胞を維持する幹細胞ニッチ(ハブ細胞)の形成機構を明らかにするために、sevおよびNotchシグナル伝達の機能解析を行ってきた。その結果、Notchシグナル伝達が形成されて間もない胚生殖巣において、ハブ細胞の形成を胚生殖巣全体で、誘導していることが明らかとなった。一方、sevは胚生殖巣の後半部において、ハブ細胞の形成を阻害していること、さらに、Egfrが胚生殖巣の後半部において、ハブ細胞の形成を阻害していることが明らかとなった。このように、ハブ細胞は拮抗した性質をもつシグナル伝達の働きにより、一定した数になるようコントロールされていると結論づけられる。ハブ細胞の数が適正に制御されることで、適切な数の生殖幹細胞が規定されるものと考えられる。では、なぜこのようなシステムにより、ハブ細胞の形成は調節されているのだろうか。興味深いことに、ハブ細胞の形成を阻害するsevおよびEgfrシグナル伝達のリガンドは始源生殖細胞で発現することが明らかとなった。すなわち、ハブ細胞の形成を阻害するシグナルは始源生殖細胞から出されている。したがって、胚生殖巣に取り込まれる始源生殖細胞の数が少ないとき、ハブ細胞の数は増加することが予想される。これについて検討した結果、始源生殖細胞の数が少ないとき、ハブ細胞の数は増加して観察された。さらに、ハブ細胞数(ニッチサイズ)の増加により、始源生殖細胞は少ないながらもより生殖幹細胞に分化しやすくなることが明らかとなった。以上のことから、始源生殖細胞の数に依存して、ハブ細胞数(ニッチサイズ)を調節するシステムは、生殖幹細胞を確保するという、重要な役割を果たしていると考えられる。
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