2007 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝補酵素による炭素及び窒素代謝制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
19870031
|
Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
高橋 秀行 Iwate Biotechnology Research Center, 細胞工学研究部, 研究員 (00455247)
|
Keywords | 栄養学 / 植物代謝 / 炭素固定 / 窒素同化 / バイオマス |
Research Abstract |
エネルギー代謝補酵素NAD(P)(H)は、生体内で様々な酸化還元反応に関わる補酵素である。これまでの研究から、NAD(P)(H)が炭素及び窒素代謝に影響を与えることが見出されている。これらの代謝は植物の生産力に深く関わっており、その増強は植物のバイオマス資源としての価値を高める重要な課題である。 NAD(P)(H)による代謝調節理論を構築するには、NAD(P)(H)量を変動させた植物体の解析が必須である。本年度は、NAD合成酵素である、ニコチンアミドモノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ(NMNAT)と葉緑体局在型NADリン酸化酵素(NADK2)の発現量を改変したシロイヌナズナ形質転換体を作成した。具体的には、NMNAT高発現体(NMNAT-OX)、NADK2高発現体(NADK2-OX)、共高発現体(NMNAT-OX/NADK2-OX)を作成し、NAD(P)(H)量の異なる植物体のシリーズを確立した。キャピラリー電気泳動質量分析装置(CE/MS)を使用しNAD(P)(H)を定量した結果、全ての形質転換体でNAD(P)(H)量の変動が確認された。特にNADK2-OXは同一系統内であってもNAD(P)(H)量が異なっていたため、得られた全ての形質転換体をその後の解析に用いた。 NADP(H)量の増加が確認されているNADK2-OXを使用し、炭素固定及び窒素同化能力をCE/MSで判定した。その結果、カルビンサイクルの代謝物とグルタミン酸を中心としたアミノ酸が有意に増加していた。また、カルビンサイクルに属する酵素の一部が活性化していることが明らかになった。これらの変化はNADP(H)量と平行して起きていることから、NADP(H)は炭素及び窒素代謝を制御している可能性が見出された。
|
Research Products
(1 results)