2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹木木部柔細胞の深過冷却機構におけるフラボノイドの機能評価
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19880002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
春日 純 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 博士研究員 (40451421)
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Keywords | 樹木 / 凍結適応 / 木部柔細胞 / フラボノイド / 過冷却促進 |
Research Abstract |
<フラボノイドにおける過冷却促進効果と化学構造との関係> 前年度の研究では、フラボノイドの過冷却促進効果はアグリコンの構造により変化することを示したが、本年度は糖残基の種類にも影響を受けることを明らかにした。また、同じケルセチンの配糖体であっても、7-O-グルコシドと3-O-ガラクトシドは高い過冷却促進効果を示すのに対し、7-O-ガラクトシドと3-O-グルコシドは過冷却促進効果がさほど高くないというように、糖残基の種類と結合部位の組み合わせにより活性が複雑に変化することを明らかにした。現在までのところ、カツラ木部から単離されたケンフェロールー7-O-グルコシドが最も高い過冷却促進効果を示している。樹木がこのような高い効果を持つ成分を木部組織に蓄積しているという事実は大変興味深い。 <過冷却促進成分の合成酵素遺伝子の単離と特性解析の試み> 木部柔細胞の過冷却能力が著しく向上する秋季の木部組織からRNAを抽出し、cDNAライブラリを作製した。また、前年の研究において、カツラの木部組織では過冷却促進フラボノイドの蓄積量の季節変化が見られなかったことから、過冷却促進成分は木部形成とともに合成・蓄積されている可能性も考え、春季から夏季にかけて採取した木部・師部・形成層を含む枝由来のライブラリもあわせて調製した。フラボノイド合成に関与する酵素遺伝子として、特にカルコンシンターゼ、フラボノールシンターゼについて、保存領域を基にディジェネレートプライマーを設計し、PCRにより上記ライブラリからDNA断片のスクリーニングを試みた。しかし、予想されるサイズのDNA断片を得ることはできなかった。今後、新たにプライマーを設計する、もしくは他の植物の相同遺伝子をプローブとしてスクリーニングを行なうなど、何らかの工夫が必要だと考えられる。
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