2008 Fiscal Year Annual Research Report
GGDEF/EAL蛋白質によるバイオフィルム制御機構
Project/Area Number |
19880011
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 一史 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (00444183)
|
Keywords | 大腸菌 / バイオフィルム / GGDEFドメイン / EALドメイン / c-di-GMP / Csrシステム / small RNA |
Research Abstract |
細菌バイオフィルムの形成を制御する新しい情報伝達蛋白質「GGDEF/EAL蛋白質」に着目し、大腸菌のc-di-GMP非代謝型及び代謝型GGDEF/EAL蛋白質のバイオフィルム制御メカニズムの解明を目的として研究を行った。 1. c-di-GMP非代謝型CsrDのsmall RNA安定性制御メカニズムの解明 CsrDの機能に重要なアミノ酸残基を見いだすため、部位特異的変異によってアミノ酸残基を置換した変異CsrDの解析を行った。CsrDホモログには保存されているが、典型的なGGDEF/EALタンパク質には保存されていないアミノ酸残基を中心に57選択し、アラニン残基(一部ロイシン残基)に置換した。変異CsrDをcsrD欠損株で発現させ、バイオフィルム形成、csrB-lacZの発現、グリコーゲン合成をCsrD活性の指標とし、野生型GsrDと比較した。変異CsrDの発現はウエスタンブロットにより確認した。活性が顕著に低下した10種類の変異CsrDが得られ、それらの変異はCsrDホモログ間で特に保存性が高いHAMP-likeドメインとGGDEFドメインのN末端領域に集中していた。これらの結果から、情報伝達ドメインと予測されるHAMP-likeドメインとα-ヘリックス構造が予測されるGGDEFドメインのN末端領域がCsrDの機能に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、EALドメイン内の部位特異的変異によって活性が上昇した変異と減少した変異の2種類の変異CsrDが確認され、EALドメインのCsrD活性への関与が示唆された。 2. c-di-GMP代謝型AdrA及びYhjHのバイオフィルム制御メカニズムの解明 c-di-GMP代謝型GGDEF/EAL蛋白質が、β-1,6-GlcNAcポリマー・PGAの合成を調節することでバイオフィルム形成を制御していることが明らかとなった。しかし、AdrA及びYhjHはPGA合成酵素遺伝子の発現には影響を与えず、遺伝子発現以外の制御メカニズムが示唆された。
|