2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19880012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
齋藤 勝晴 Shinshu University, 農学部, 准教授 (40444244)
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Keywords | アーバスキュラー菌根 / ポリリン酸 / ミヤコグサ / 酸性ホスファターゼ / 電子顕微鏡 / リン酸 / 液胞 / 樹枝状体 |
Research Abstract |
アーバスキュラー菌根菌は植物の根に共生する糸状菌であり、多くの植物のリン酸栄養改善に寄与している。本研究では、アーバスキュラー菌根のリン酸獲得機構の分子メカニズムを解明することを目的とした。 土壌中のリン酸は菌根菌に取り込まれた後ポリリン酸に合成され、菌糸中を移動することが知られている。しかし、ポリリン酸が蓄積する細胞小器官は未だ特定されていない。そこで菌糸中のポリリン酸局在を明らかにするため、ポリリン酸分解酵素のポリリン酸への親和性と免疫電顕を組み合わせた方法によりポリリン酸の検出を行った。同時に、もう一つのポリリン酸検出法であるDAPI染色も試みた。その結果、ポリリン酸は発芽菌糸の液胞に高濃度に蓄積するとともに、細胞壁の最外層にも存在することが明らかとなった。このことはポリリン酸が細胞壁成分として細胞膜外に分泌されることを示唆しており、アーバスキュラー菌根菌から植物へのリン酸輸送に重要な役割を果たしている可能性がある。 アーバスキュラー菌根のリン酸吸収促進機能の指標を探索するため、菌根菌感染により発現上昇するリン酸代謝遺伝子の解析を行った。ミヤコグサマクロアレイデータを用いて菌根菌感染により発現が上昇する酸性ホスファターゼ遺伝子を2クローン検出した。しかし、リアルタイムPCRにより遺伝子発現量を詳しく解析したところ、発現上昇は確認されなかった。今回利用したマクロアレイデータには、菌根誘導性の酸性ホスファターゼ遺伝子が存在していなかった可能性があり、今後はリン酸吸収促進機能の指標探索に生化学的なアプローチも必要と考えられる。
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Research Products
(7 results)