2007 Fiscal Year Annual Research Report
マツノザイセンチュウのアセチルコリンエステラーゼ遺伝子のクローニング
Project/Area Number |
19880016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 祐子 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (80452283)
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Keywords | 森林病害 / 線虫 / 薬剤反応性 / 遺伝子 / クローニング |
Research Abstract |
マツノザイセンチュウを病原体とするマツ材線虫病は、1世紀以上にわたり、国内外のマツ林に甚大な被害を及ぼし続ける劇症型萎凋病である。現在防除に使用されている樹幹注入剤は、酒石酸モランテルを主成分とした殺線虫剤であり、同線虫の神経伝達に関与するアセチルコリンエステラーゼ(AChE)の活性を阻害するが(松浦ら1986,1987)、詳細な作用機作は解明されていない。そこで本研究では、樹幹注入剤の殺線虫作用の標的部位と考えられるマツノザイセンチュウのAChE遺伝子の詳細な機能解析を通して、同薬剤の作用機作を解明することを目的とした実験を行っている。 2007年度は、マツノザイセンチュウのAChE遺伝子を単離した。Arpagaus, et. al.(1994)を参考に、AChE遺伝子を増幅するディジェネレートプライマー(5'-GA (A/G) GA (C/T) TG (C/T) CTi TA (C/T) CTi AA-3';5'-CCi GCi GA (C/T) TCi CC (A/G)-3')を用いて、マツノザイセンチュウのゲノムDNAを鋳型としたPCRを行った。その結果、塩基長の異なる複数の遺伝子断片を得ることに成功し、各断片の塩基配列を決定した。得られた配列と他種の既知AChE遺伝子との相同性解析(BLAST解析)を行ったところ、3つの断片(塩基長770-bp,458-bp,362-bp)がAChE遺伝子である可能性が高いことが明らかになった。 現在、これら3遺伝子の全長配列を決定するためのカセットPCRを行うとともに、各遺伝子を特異的に増幅するプライマーを設計し、発現解析を試みている。
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Research Products
(8 results)