2008 Fiscal Year Annual Research Report
マツノザイセンチュウのアセチルコリンエステラーゼ遺伝子のクローニング
Project/Area Number |
19880016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 祐子 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (80452283)
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Keywords | 樹木病害 / 線虫 / 薬剤反応性 / 遺伝子 / クローニング / マツノザイセンチュウ / 表面タンパク質 / 分子生物学 |
Research Abstract |
マツノザイセンチュウを病原体とするマツ材線虫病は、国内外のマツ林に甚大な被害を及ぼし続ける劇症型萎凋病である。現在防除に使用されている樹幹注入用殺線虫剤は、同線虫の神経伝達に関与するアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を阻害するが、詳細な分子レベルでの作用機作は解明されておらず、それ以外の有効な防除法も開発されていない。 本申請研究では、マツノザイセンチュウの樹幹注入薬剤作用部位であり、かつ生死を制御するアセチルコリンエステラーゼの詳細な機能解析を通して、同薬剤の作用機構の解明を試みた。他種線虫の相同遺伝子配列情報に基づいたディジェネレートPCRにより、マツノザイセンチュウからサイズの異なるAChE遺伝子3つの断片の単離し、その塩基配列を決定した。また、各々の配列をcDNAとゲノムDNA間で比較することにより、イントロン挿入位置を明らかにした。 さらに、本申請研究を進める中で、マツノザイセンチュウの体表構造特性が薬剤作用性に影響を与えている可能性を見出した。成長過程別、病原性の異なる系統別に体表構造を精査した結果については、学術論文にまとめて投稿し、受理されている。 現在遺伝子レベル及びタンパク質レベルでの解析をさらに進めており、結果が揃い次第公表予定である。本研究により、これまで圧倒的に分子情報の欠落していたマツノザイセンチュウについて、今後創薬や分子治療等を視野に入れた発展的な研究を行う上での基礎が定まったと言える。
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