2007 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤における内在性レトロウイルスエンベロープ蛋白の生理学的機能
Project/Area Number |
19880018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬場 健司 Kyoto University, ウイルス研究所, 研究員 (90452367)
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Keywords | 内在性レトロウイルス / 胎盤 / ウシ / ブタ / エンベロープ蛋白 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ウシおよびブタの内在性レトロウイルス由来蛋白の胎盤における生理学的機能を明らかにし、家畜の生産性の向上を可能とする応用技術の基盤を築くことである。平成19年度には、ウシゲノムデータベースの網羅的検索を行い、オープンリーディングフレームを有する2種類のウシ内在性レトロウイルス(BERV)エンベロープ(env)遺伝子を同定した。系統樹解析の結果、これらのenv遺伝子は、べータレトロウイルス属に分類されることが明らかとなり、その予想されるアミノ酸配列から、ヒツジの妊娠成立に必要であることが報告されている内在性jaagsiekte retrovirusのenv蛋白に比較的高い相同性を有していることが明らかとなった。また、これらのenv mRNAが、胎盤組織において発現していることを明らかとし、蛋白コード領域を含む全長クローニングに成功した。さらに、これらのenv遺伝子からは、オルタナティブスプライシングにより、env蛋白とは異なるアクセサリー蛋白も発現されることを発見した。これまでにBERV由来蛋白を同定した報告はなく、これが世界初の成果であるとともに、胎盤形成および妊娠成立における未知の機能が見いだされることが期待できる。現在、これらの蛋白の機能を解析するとともに、特異的抗体を作製中である。ただし、env蛋白の培養細胞における効率的な発現および精製には課題を残しており、当該年度に予定していた受容体の同定には至っていない。現在、発現法の改善を試行中である。一方、ブタの内在性レトロウイルス(PERV)に関しては、PERV-Aの受容体mRNAが、ブタの胎盤の栄養膜細胞において発現していることをin situハイブリダイゼーションにより明らかにした。
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