2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内でのポリアミンの生理学的機能-グリア細胞機能調節因子としての可能性-
Project/Area Number |
19880025
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高野 桂 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教 (50453139)
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Keywords | ポリアミン / ミクログリア / アストロサイト |
Research Abstract |
中枢神経系は、主に神経細胞とグリア細胞によりれており、グリア細胞の活性変化は、脳虚血やアルツハイマー病等の神経変性疾患発症メカニズムに深く関与することが指摘されている。一方、細胞増殖や分化に必須の因子であるポリアミン類に関して、中枢神経系では特に神経細胞に対する影響が多く検討されているが、グリア細胞に対する検討はこれまであまりなされていない。グリア細胞におけるポリアミンの影響に関する研究として、培養液中に、ある特定のポリアミンを添加することにより、ミクログリアの細胞死が誘導されること、また、その細胞死には、ポリアミン代謝産物のうち、過酸化水素よりもアルデヒド類であるアクロレインの関与が大きいことや、培養アストロサイトでは、ポリアミンおよびアクロレインによる細胞死に対してミクログリアよりも抵抗性を示すことも見出しており、ポリアミンがグリア細胞の活性制御に関わるのかもしれない。培養アストロサイトとミクログリアにおけるポリアミンおよびアクロレインに対する感受性の差異に関して、活性酸素の除去に働く酵素であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)のmRNA発現を両者で比較したところ、Mn-SOD、Cu/Zn-SOD、EC-SODという3種類のSODのうち、EC-SODの発現がミクログリアに比べ、アストロサイトにおいて高かった。したがって、アストロサイトにおけるポリアミン抵抗性にSODが関与している可能性が示唆される。 神経変性疾患とグリア細胞の活性化に関連し、プリオン病に対して治療効果を持つことが指摘されているアンホテリシンBの培養ミクログリアに対する影響を検討したところ、アンホテリシンBはミクログリアにおいて神経栄養因子の発現を誘導しており、神経細胞に対して保護的に働く可能性が考えられる。
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