2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネの根系発達を制御する遺伝子の機構解析と分子機構の解明
Project/Area Number |
19880032
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Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
小原 実広 Iwate Biotechnology Research Center, 生物資源研究部, 研究員 (10455248)
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Keywords | イネ / バイオマス / 栄養吸収 / 根系 |
Research Abstract |
作物の物質生産向上には、作土からの栄養吸収を促進させる必要がある。イネにおいては、栄養吸収を司る根系の発達程度とバイオマス量の間には、正の相関関係が認められている。イネバイオマス量の向上には、より根系を発達させ、養分吸収を促進させることが有効な方法の一つである。根系の発達を制御している遺伝子の単離を行うために、物質生産能が低下し、根系の発達が低下したrbm1変異体を用いて、ポジショナルクローニングを行った。rbm1変異体とインド型品種とのF2個体を、土耕法及び水耕法で栽培した。土耕法で栽培したところ、rbm1変異体と同様な表現型を示す個体の選抜は困難であった。そこで、水耕法で栽培したF2個体の根長を指標として、表現型の判別を行った。F2世代の4,000個体の表現型を決定し、マッピングを行ったところ、rbm1変異体の原因遺伝子を、33kbの領域に絞り込んだ。この領域には、機能未知の3遺伝子の存在が示されており、これらの構造遺伝子領域に関して、塩基配列比較解析を行った。その結果、rbm1変異体においては、1つの遺伝子の構造領域に約2kbの欠損が認められた。この遺伝子のプロモーター領域役3kbと構造遺伝子領域約4kbを、野生型の染色体DNAを鋳型として、PCR法により、単離した。遺伝子機能相補性を検定するために、先のDNA断片を挿入したバイナリーベクターを作製し、形質転換植物作製の準備を行っている。また、この遺伝子は根において、高く蓄積していることも判明した。以上の結果から、本研究において、根系の発達を制御している遺伝子の同定が行われ、作物の根系発達の制御機構の一端が解明されることが期待される。この遺伝子の遺伝的多様性を検討するために、焼き畑によるイネ栽培が行われているラオス共和国のイネ品種の塩基配列比較解析を行っている。研究は、ほぼ計画通り順調に進んでいる。
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