2007 Fiscal Year Annual Research Report
ユーカリのアルミニウム耐性を決定する根分泌物の構造と分泌特性の解明に関する研究
Project/Area Number |
19880034
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田原 恒 Forestry and Forest Products Research Institute, 生物工学研究領域, 研究員 (70445740)
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Keywords | 酸性土壌 / アルミニウム耐性機構 / フトモモ科樹木 / Eucalyptus camaldulensis / 根分泌物 / アルミニウム結合物質 / 構造解析 / ストレス応答 |
Research Abstract |
ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、強酸性土壌で問題となるアルミニウム過剰害に対して強い耐性を示す。ユーカリの根からアルミニウム結合性の物質が放出され、そのことがユーカリのアルミニウム耐性に寄与していることが示唆さている。本研究は、ユーカリの根からの放出されるアルミニウム結合性の物質を分離し、構造を解析することを目的とする。ユーカリの実生苗の水耕栽培系を人工気象室内に組み立て、根から水耕液中に分泌される物質を採取した。ゲル濾過クロマトグラフィーにより、根分泌物からアルミニウム結合性の物質を分離した。アルミニウムを単独で分離カラムに添加すると、いずれの画分にもアルミニウムは検出されなかった。一方、アルミニウム結合物質であるクエン酸やシュウ酸とともにアルミニウムを分離カラムに添加すると、アルミニウムのピークがクエン酸やシュウ酸のピークと重なって現れた。以上の結果は、アルミニウム単独では分離カラムに吸着して溶出しないが、クエン酸やシュウ酸などのアルミニウム結合物質と結合した場合には分離カラムを通過して溶出すると考えられる。さらに分離条件を検討し、試料添加後に分離カラムをクエン酸溶液で洗浄し、分離カラムに吸着したアルミニウムを除去するとより安定な結果が得られることを見出した。こうした条件下で、根分泌物とともにアルミニウムを分離カラムに添加し、各画分のアルミニウム濃度を測定すると、二つのピークが得られた。この結果は、分子量の異なる二つの結合物質-アルミニウム複合体を形成する物質がユーカリの根から放出されていることを示している。
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