2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユーカリのアルミニウム耐性を決定する根分泌物の構造と分泌特性の解明に関する研究
Project/Area Number |
19880034
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田原 恒 Forestry and Forest Products Research Institute, 生物工学研究領域, 研究員 (70445740)
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Keywords | 酸性土壌 / アルミニウム耐性機構 / フトモモ科樹木 / Eucalyptus camaldulensis / 根分泌物 / 根含有物 / アルミニウム結合物質 / ストレス応答 |
Research Abstract |
ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、酸性土壌で問題となるアルミニウム過剰害に対して強い耐性を持つ。本研究では、ユーカリのアルミニウム耐性機構を解明するために、根分泌物および根含有物からアルミニウム結合性の物質を分離することを目的とした。 ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて、ユーカリの根分泌物からアルミニウムと結合しても可溶性のアルミニウム結合物質を分離した。根から分泌される可溶性アルミニウム結合物質の量は、根の周りにアルミニウムが存在することによって減少した。この結果から、可溶性アルミニウム結合物質の分泌は、ユーカリのアルミニウム耐性の主要な機構ではないと考えられた。根の外部ではなく内部でアルミニウムが何らかの物質と結合して無害化されている可能性が考えられる。そこで、ゲル濾過クロマトグラフィーによる分離法を用いて、根の含有物からアルミニウムと結合しても可溶性のアルミニウム結合物質を分離した。根に含まれる可溶性アルミニウム結合物質の量は、根の周りにアルミニウムが存在することによって増加した。この可溶性アルミニウム結合物質の少なくとも一部は、クエン酸によって説明できた。高速液体クロマトグラフィーによりアルミニウムと結合して不溶化するアルミニウム結合物質を根含有物から分離する手法も新たに確立した。この分離法を用いて、根の内部にアルミニウムと結合すると不溶化するアルミニウム結合物質も存在することを見出した。ユーカリの根には、アルミニウムと結合して可溶性のままの物質と不溶化する物質が含まれていることが明かになった。根に含まれるこれらの物質がユーカリのアルミニウム耐性に寄与している可能性がある。
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