2007 Fiscal Year Annual Research Report
ケトジェネシスの鶏酸化ストレス・免疫応答制御機構の解析
Project/Area Number |
19880036
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
大津 晴彦 National Agricultural Research Organization, 當産草地研究所・機能性飼料研究チーム, 研究員 (40455316)
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Keywords | ケトン体 / ストレス / 免疫 / 応用動物 / 生理 |
Research Abstract |
肝臓での脂肪酸酸化の更新時に多量に生成されるケトン体(βヒドロキシ酪酸[β-HB]、アセト酢酸[AcAc])が、抗酸化作用を持つことが哺乳動物において知られている。鶏におけるケトン体の酸化ストレス・免疫応答にケトジェネシスの作用を検討する事を目的とし、初年度は、1)培養リンパ球(鶏リンパ球初代培養・鶏B細胞株[DT40])の増殖・生存率に対するケトン体の作用およびサイトカイン(IL-4)産生に対する作用を検討した。2)鶏におけるケトン体の抗酸化能の検討として活性酸素のDT40へのCytotoxityに対する作用を検討した。3)次年度試験予定のケトジェネシスの鶏初期成長時の生体内酸化ストレス・免疫応答への作用の前段階として、採卵鶏の脂質代謝および抗酸化へのケトジェニック飼料の作用を検討した。 1)鶏血液よりリンパ球を調製し、段階的濃度(0.1-10mM)のβ-HBおよびAcAcの添加実験(添加時間-72時間)を行った結果、高濃度のβ-HB(5mM以上)およびAcAc(5mM以上)はリンパ球の生存率を低下させた。また、リンパ球のマイトジェン(増殖活性因子)であるConAの増殖作用に対してβヒドロキシ酪酸(5mM以上)は抑制作用を示した。DT-40細胞の増殖に対して、βヒドロキシ酪酸は抑制効果を示した。βヒドロキシ酪酸およびアセト酢酸は鶏初代リンパ球のIL-4のmRNA発現を添加72時間で抑制する傾向を示した。 2)活性酸素(過酸化水素)の添加24時間におけるDT40へのCytotoxityに対して、β-HB(0.1mM)は抑制効果を示さなかった。 3)ケトジェニック飼料は採卵鶏の血中β-HB濃度を有意に上昇させたが、AcAc濃度には大きな影響を示さなかった。ケトジェニック飼料給与により血中遊離脂肪酸濃度を有意に上昇し、トリグリセライド濃度は大きく減少した。ケトジェニック飼料は血中グルコース濃度に大きな影響を示さなかった。血中過酸化脂質濃度(TBARS)はケトジェニック飼料給与により、大きく減少しケトジェネシスが鶏の抗酸化能を調節する可能性が示された。
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