2008 Fiscal Year Annual Research Report
ケトジェネシスの鶏酸化ストレス・免疫応答制御機構の解析
Project/Area Number |
19880036
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
大津 晴彦 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所機能性飼料研究チーム, 研究員 (40455316)
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Keywords | ケトン体 / ストレス / 免疫 / 応用動物 / 生理 |
Research Abstract |
肝臓での脂肪酸酸化の更新時に多量に生成されるケトン体(βヒドロキシ酪酸[β-HB]、アセト酢酸[AcAc])が、抗酸化作用を持つことが哺乳動物において知られている。鶏におけるケトン体の酸化ストレス・免疫応答にケトジェネシスの作用を検討する事を目的とし、本年度は1)初期成長期の鶏におけるケトジェニック飼料給与の抗酸化・免疫応答への影響、2)初期成長期の雛に対するケトン体(β-HB)腹腔内投与の抗酸化・免疫応答への影響、3)鶏B細胞株(DT40)におけるケトン体のレドックス応答転写因子により発現の調節されるCOXIIのmRNA発現量への影響を検討した。 1)0日齢の鶏雛にケトジェニック飼料(KD)に1週間給与したところ、血液中β-HB濃度はコントロールに比べ有意に上昇した。KD給与は血液中トリグリセリド、遊離脂肪酸濃度に影響を与えなかったが、コレステロール濃度を上昇させ、血液中過酸化脂質濃度を低下させたものの、血液中抗酸化能(PAO)も有意に低下させた。KD給与は、脾臓におけるサイトカイン(IL-2、IL-13,IFN-γ)mRNA発現量に影響を与えなかったが、COXIIの発現量を増加させた。 2)1日齢鶏雛に、β-HBを0.5,1.0g/KgBW、1日1回、1週間腹腔内投与したところ、血液中過酸化脂質濃度を低下させたものの、試験1と同様に抗酸化能(PAO)も低下させた。ケトン体投与は脾臓におけるサイトカイン(IL-2,IL-13,IFN-g)およびCOXIIのmRNA発現量に影響を与えなかった。 3)DT40にβ-HB(5mM),AcAc(5mM),PMA[NFkB activator](10ng/ml)を添加したところ、COXmRNA発現量が無添加区に比べ有意に増加させ、ケトン体はレドックス応答転写因子を直接的に活性化することが示唆された。 以上より、ケトン体は初期成長期の鶏の酸化ストレスを誘導することが示唆された。
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