2007 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子発現解析法を用いた新規睡眠遺伝子の検索と同定
Project/Area Number |
19890003
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺尾 晶 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (10451402)
|
Keywords | プロスタグランジンD2 / アデノシン / 網羅的遺伝子発現解析 / 断眠 / 睡眠 / 大脳皮質 / 視床下部 / 前脳基底部 |
Research Abstract |
複雑な睡眠調節が一連の遺伝子群により制御されているとの仮説に基づき、GeneChip(R)(Affymetrix)を用いて、睡眠調節に直接関与する新規遺伝子の検出を目的として実施した。本研究では複数のアプローチにより実験的に誘発した睡眠状態、即ち、1)断眠処置後のリバウンド睡眠(通常より深い睡眠状熊)と2)生理的睡眠質の代表である、プロスタグランジン(PG)D2やアデノシンを脳質内に投与した時に惹起される睡眠を比較し、共通に活性化される遺伝子群が睡眠調節機構に重要であるという観点から睡眠遺伝子候補の絞り込みを行った。PGD2やCGS21680(アデノシンA2a作動薬)を脳内投与すると睡眠量は2倍程度増加することが確認されたため、睡眠誘発効果が最大となる2時間目に動物をと殺し、脳サンプル(大脳皮質、視床下部、前脳基底部)を得た。Affymetrix U34 Neuroarrayを用いて中枢神経系に特異的に発現している1322個の遺伝子エレメントの解析を行ったところ、PGD2では149個、CGS21680では193個について発現量に変化が認められた。同じ脳部位で比較すると、PGD2とCGS21680では発現変化した遺伝子パターンに高い類似性が認められたため、共通の睡眠経路を活性化していることが考えられた。しかしながち、PGD2、CGS21680、断眠処置後のリバウンド睡眠の3条件で共通に発現変化が認められた遺伝子は大脳皮質で1個、視床下部で3個、前脳基底部で2個見出されたが、いずれも神経免疫系シグナリングの活性化に関与するものであった。現在、得られた候補遺伝子についてRT-PCR, Northern hybridization,Real-time PCR(TaqMan(R))等により遺伝子発現変動結果の再現性を確認している段階である。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
-
[Presentation] 断眠モデル動物の大脳皮質における網羅的遺伝子発現解析2007
Author(s)
寺尾 晶, Wisor, J.P., Peyron, C., Apte-Deshpande, A., Wurts, S., Edgar, D.M., 木村和弘, Kilduff, T.S.
Organizer
第144回 日本獣医学会
Place of Presentation
酪農学園大学(北海道江別市)
Year and Date
2007-09-04