Research Abstract |
本研究は,中枢における代表的な炎症性脱髄性疾患である多発性硬化症(MS)において,神経栄養因子がどのような影響を与えているか,生化学的側面,免疫学的側面,そして遺伝学的側面から検討することを目的に行っている.特に,日本人におけるMSは欧米のMSに比べ,視神経脊髄型(OS-MS)の割合が通常型(C-MS)よりも多い,高度の視力障害や急性横断性脊髄症の割合が多いなどいくつかの特徴があり,遺伝的背景を含めた検討をすることにより,日本人MSにおける神経栄養因子の関与がより深く検討できるものと考えている.本年度においてはMS患者,及び健常者からDNA,血清採取・保存,及び発症年齢,再発と寛解などの病期,C-MSとOS-MSなどの病型,Progression Indexなどの臨床データの蓄積を主に行っている.現在のところ,一部のサンプルに関して,BDNFの遺伝子多型並びに血清BDNF濃度を解析中で,今後それらのデータが得られ次第,臨床データとの相関などを検討していく予定である.ヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen; HLA)はMSの遺伝子解析を考える上で重要で,これまで解析を行ってきたHLAのデータに追加しており,神経栄養因子との関連も検討していく予定である.尚,現在,MS患者及び健常者のHLAのデータから,これまで報告されているDRB1*1501とMSとの相関は追認できている.
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