2008 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症の病態における神経栄養因子の関与の解明
Project/Area Number |
19890004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新野 正明 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (00443961)
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Keywords | 脳・神経 / 遺伝子 / 免疫学 / 多発性硬化症 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
今回の研究では, 多発性硬化症における神経栄養因子の関与に関して検討した. はじめに, 神経栄養因子の一つである, brain-dedved neurotrophic factor (BDNF)遺伝子のexon5に存在するG196A多型を216名の多発性硬化症患者と186名の健常者で比較したが, 2群間でgenotypeやallele frequemyに差は認めなかった. 一方, 血清中のBDNF濃度を, 多発性硬化症患者の再発期・寛解期, 対照健常者の3群で比較検討したところ, 多発性硬化症再発期でやや低い傾向を認めたが, 3群間で統計学的な有意な差は認めなかった. 多発性硬化症の再発予防としてインターフェロンベータ製剤が使用されるが, in vitroの実験などから, この薬剤が神経栄養因子に影響を与えることが示唆されている. これらのことから, 今回, 多発性硬化症患者においてインターフェロンベータ使用群と非使用群において血清中のBDNF濃度を比較検討したが, 2群間で差を認めなかった. 多発性硬化症の進行の程度の指標であるMultiple Sclerosis Sevedty Scale (MSSS)と血清BDNF濃度との相関も認めなかった. 今回の検討では, BDNFと多発性硬化症の有意な関連を示唆するデータは得られなかったが, これまでの研究から神経栄養因子は多発性硬化症の病態に深く関わっていることが示唆されており, 他の神経栄養因子を含め今後も研究を継続する予定である.
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Research Products
(6 results)